トップ ニュース 慶応義塾大学・井手英策教授、「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会実現へベーシックサービスを提言
慶応義塾大学・井手英策教授、「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会実現へベーシックサービスを提言 慶応義塾大学の井手英策教授は、医療や教育などの基礎的サービスを無償化する「ベーシックサービス」の導入により、「弱者を生まない」かつ「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会を実現すべきだと提唱した 。(写真/日本記者クラブ提供)
日本記者クラブで2025年12月17日、「人口減少時代を生きる」シリーズの第5回講演会が開かれ、財政社会学を専門とする慶応義塾大学経済学部の井手英策教授が登壇した。井手氏は、医療や介護、教育などの基礎的サービスを所得制限なしで無償化する「ベーシックサービス」の導入を提唱し、人口減少と低成長が続く日本において「弱者を助けるのではなく、弱者を生まない社会」への転換が必要だと訴えた 。
井手氏は冒頭、自身の過去の闘病や貧困の経験に触れ、運不運で一生が決まる社会の不条理さを指摘した上で、現在の日本の社会保障が「成長依存型」であることに警鐘を鳴らした 。同氏によると、日本の社会保障給付は高齢者向けが中心であり、現役世代への給付はOECD諸国の中でも極めて低い水準にある 。
これは「経済成長すれば所得が増え、自己責任で生活できる」という前提に基づいているが、1990年代半ば以降、世帯所得はピークアウトし、成長が停滞している現在、このモデルは機能不全に陥っていると分析した。その結果、低所得層だけでなく中間層も含めた多くの人々が将来不安を抱え、それが他者への不寛容やバッシングにつながっていると述べた 。
こうした状況を打破する策として、井手氏は「ベーシックサービス」と「品位ある最低保障(ディーセント・ミニマム)」の構築を提案した 。具体的には、医療、介護、教育、障害者福祉など、誰もが必要とし得るサービスを全額税負担で無償化するとともに、現在日本に欠如している家賃補助制度の創設や、生活扶助・失業給付の拡充を行うべきだとした 。これにより、病気や失業などのリスクに直面しても生活が破綻しない基盤を作り、「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会を実現できると主張した 。
財源について井手氏は、消費税率を6%程度引き上げることで実現可能だとの試算を示した 。増税に対する国民の抵抗感については、「税を取られる」と考えるのではなく、これまで個人が自己負担で支払っていた医療費や学費を、税という形での「共同負担」に置き換えるだけであると説明 。将来不安が解消されれば、人々は貯蓄を取り崩して消費に回すようになり、経済循環も改善すると論じた 。
また、昨今の選挙で争点となった「消費税減税」や「現金給付」については、富裕層ほど恩恵を受ける逆進性や、財政赤字の拡大、インフレのリスクを挙げて疑問を呈した 。借金によるバラマキではなく、痛み(増税)を分かち合うことで安心という受益を分かち合う「連帯した社会」を目指すべきだと強調した 。
講演の後半では、制度的な保障だけでなく、孤立した人々に寄り添う「ソーシャルワーク」の重要性や、地域コミュニティ機能を強化するための「地方連帯税(仮称)」の導入にも言及した 。
最後に井手氏は、最近の野党や公明党などの動きに触れ、ベーシックサービスの理念が政治の世界でも共有され始めていることに期待を寄せつつ、他者と共に在るという「共在感」を持てる社会の実現を呼びかけて講演を締めくくった。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒
最新ニュース
郷ひろみ、70歳で万感の紅白勇退「こんなに最高な瞳はなかなかない」 AKB48はOG再集結で20周年彩る大みそか恒例の「第76回NHK紅白歌合戦」が2025年12月31日、東京・渋谷のNHKホールで開催され、今年での「紅白卒業」を宣言していた歌手の郷ひろみがラストステージを飾った。また、結成20周年を迎えたAKB48は歴代のレジェンドメンバーと共に登場し、節目の舞台を華やかに盛り上げた。今年で25年連続、白組最多となる通算3......
Nothing、コミュニティ投資ラウンドで800万ドル超を調達 評価額13億ドルに ロンドン発のコンシューマーテック企業Nothingは、最新のコミュニティ投資ラウンドにおいて、5,000人の新規投資家を迎え、目標を上回る800万ドル(1ドル=155円換算で約12億4,000万円)を超える資金調達を達成したと発表した。これにより、同社の企業評価額は13億ドル(約1,950億円)に到達している。Nothingは創業以来、ユーザーコミュニティと......
天皇陛下、新年のご感想 戦後80年経て平和への願い、世界の紛争に「心痛める」 宮内庁は令和8年(2026年)1月1日、天皇陛下の新年にあたってのご感想を公表した。陛下は、昨年が戦後80年という節目の年であったことを振り返り、平和の尊さを改めて噛み締めるとともに、世界各地で続く紛争に深い懸念を示された。陛下は感想の中で、先の大戦を思い起こし、戦中・戦後の苦難と人々の努力によって築かれた「今日の我が国の平和の尊さ」に思いを致したとされた。......
【武道光影】江戸時代から遺る返し技 天然理心流――「奏者」 天然理心流の「奏者」は、江戸時代の初代から伝わる巻物に既に存在していた技である。主に、城の控の間や時には密室で襲撃に遭遇した際、迅速に相手を制圧・突撃し、斬る一連の座技の訓練である。これは剣術と柔術が高度に融合し、「気剣一如」に達する技といえる。現存する古流剣術流派の中では極めて稀だが、これこそ天然理心流が古武道の系譜において統合武術流派であることを示す最良......
舞台裏》「今回は半導体ではない」台湾外交の切り札 林佳龍外交部長が仕込む「新たな武器」 2025年末、外交部が主催する「外交の友」の宴席で、林佳龍外交部長は自嘲気味にこう語った。自分は硝煙なき外交戦場で「神龍見首不見尾(龍の首は見えても尾は見えない、神出鬼没の意)」な存在だという。中国側の言い回しになぞらえれば、林氏はこれまでに国交樹立国11カ国と非国交国11カ国を「中国が認めない形の訪問」として重ね、米国や欧州も4往復したことになる。興味深い......
高市首相「来年はさらにギア上げる」 就任後初の年越し、公邸引っ越しで「お化け」にも言及 高市早苗首相は大晦日となる31日、自身のSNSを更新し、国民に向けた年末のメッセージを発信した。10月21日の就任から約2カ月間を振り返り、物価高対策や外交での成果を強調するとともに、令和8年に向け「さらにギアを上げて政策を実現していく」と政権運営への強い決意を示した。首相は、発足したばかりの高市内閣において、直面する物価高への対応を最優先課題に掲げてきたこ......
侍ジャパン、WBC連覇へ「投手8人」先行発表! 大谷翔平、菊池雄星らMLB勢3人選出 来年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、日本代表「侍ジャパン」の井端弘和監督(50)は12月26日、東京都内で記者会見を開き、代表メンバー8人を先行発表した。今回選出されたのはいずれも投手で、メジャーリーグ(MLB)所属3人、国内プロ野球(NPB)所属5人。大会連覇を目指す侍ジャパンにとって、最初の布陣が明らかになった。......
第76回NHK紅白歌合戦「連続テレビ小説『あんぱん』スペシャルステージ」詳細発表 NHKは12月30日、第76回NHK紅白歌合戦で放送される「連続テレビ小説『あんぱん』スペシャルステージ」の詳細を発表した。ステージには、連続テレビ小説『あんぱん』にゆかりのある豪華キャスト陣に加え、「それいけ!アンパンマン」の仲間たちが集結。主人公・のぶを演じ、紅白の司会も務める今田美桜とともに、アンパンマンの作者・やなせたかしが作詞した楽曲や、ドラマ『あ......
【2026台北年越し】交通規制・完全ガイド いつから通行止め?駐車場は?MRT情報は? 2026年の幕開けを飾る一大イベント「台北最HIGH新年城2026(ニューイヤーパーティー)」が、まもなく信義計画区(台北101周辺エリア)で開催される。今回の年越しは平日の帰宅ラッシュと重なるため、人流と車流の激しい混雑が予想される。台北市政府交通局は、完全な交通規制および輸送計画を早期に発表した。大晦日を楽しく過ごすためには、自家用車での来場を避け、MR......
パイナップルだけじゃない!台湾の「ある農産物」が日本でシェア95% 中国市場からの転換進む 近年、国際的なサプライチェーンの再編や地政学的影響を受け、台湾農産物の輸出構造に大きな変化が生じている。日本は中国を抜き、台湾にとって第2位の農産物輸出市場となっただけでなく、生鮮果実においては最大の輸出先となっている。台湾産パイナップルやバナナの90%以上が日本へ輸出されていることは知られているが、実はそれ以上に日本市場への依存度が高い品目がある。台湾農業......
李逸洋駐日代表、「頻発する演習は中国軍腐敗隠しの『虚勢』か」 日米連携の重要性訴え 台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表は自身のフェイスブックで、中国が再び台湾周辺で軍事演習を実施したことについて言及し、台湾市民にとってはすでに回数を数え切れないほど繰り返されていると指摘した。中国側は今回の演習について「外部勢力への厳重な警告」と位置づけており、李氏はその「外部勢力」とは米国および日本を指すものだと述べている。李氏は、米国のトランプ大統領が最......
2026年の「5大注目点」:高市早苗首相、大谷翔平選手、そして60年ぶり「丙午」の呪い 京都・清水寺の森清範貫主が、2025年を象徴する「今年の漢字」として「熊」の一字を揮毫した。これは日本各地でクマによる襲撃事件が多発したことを直観的に反映したものだろう。しかし、ブルームバーグの東京支社前副社長であるギアロイド・レイディ氏は、この選択を「保守的すぎて核心を外している」と指摘する。同氏によれば、今この瞬間の日本の鼓動をより正確に捉えているのは「......
50周年の冬コミが開幕、初日に15万人が来場 半世紀の節目に熱気 国内最大規模の同人誌即売会「コミックマーケット107」(C107)が30日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕した。1975年12月に東京・虎ノ門でささやかに始まったコミケは今回で50周年を迎え、半世紀の歴史を刻む記念すべき開催となった。初日は冬晴れの下、午前10時30分の開場と共に恒例の拍手が場内に響き渡り、イベントがスタート。会場には早朝から多くの参......
松田聖子、5年ぶり紅白出場へ 特別企画で「青い珊瑚礁」披露 放送100年締めくくる NHKは28日、大みそかに放送される「第76回NHK紅白歌合戦」に、歌手の松田聖子さんが出場すると発表した。特別企画での出演となり、紅白のステージに立つのは5年ぶり。松田さんが披露するのは、1980年のデビュー当時、自身初となる紅白出場時に歌唱した名曲「青い珊瑚礁」だ。今回は「放送100年」を記念した特別企画の一環として、紅組と白組のすべての対戦が終了した後......
解析》台湾に迫る実弾射撃 中国軍「正義使命-2025」、軍事演習海域は過去最接近 中国人民解放軍の東部戦区は12月29日から2日間にわたり、陸軍、海軍、空軍、ロケット軍などの各兵力を動員し、台湾を包囲する5つの海・空域において軍事演習「正義使命-2025」を展開。実弾射撃演習の実施も予告した。中国の軍事専門家の分析によれば、29日に公開された演習区域図は、当時のペロシ米下院議長の訪台に対抗して行われた2022年の包囲演習と比較しても、台湾......
舞台裏》台湾国産潜水艦「海鯤号」は本当に大丈夫か 台湾海軍と台船が「ある時期」を待つ理由 台湾が総額500億台湾ドル(約2400億円)を投じて建造している国産潜水艦「海鯤(ハイコン)号」をめぐり、試験の進捗と信頼性に注目が集まっている。現在、「海鯤号」は海上試験(SAT)のうち浮上航行試験を終え、造船元の台船は、最終的な調整作業を経て潜航試験に移る計画だと説明している。ただ、この重要な段階に差しかかる中で、「錨が搭載されていない」「一部主機が未装......
防衛省、特定秘密・規律違反で計30人を懲戒処分 小泉防衛相「信頼回復の先頭に立つ」 防衛省は12月26日、特定秘密保護法に関連する違反事案と、潜水艦の修理契約を巡る不適切な物品受領事案について、自衛隊員計30人の懲戒処分を発表した。特定秘密に関連して19人、潜水艦の修理業者からの物品受領に関連して11人が処分された。これを受け、小泉進次郎防衛大臣は「国民の皆様の信頼を損なうものであり、防衛大臣として重く受け止めている」とのコメントを発表し、......
TAKANAWA GATEWAY CITY、初めて迎える新年に「新春高輪横丁」を開催 獅子舞や和太鼓、新春グルメでにぎわい創出へ「ここは、いい未来への玄関口。」をキャッチコピーに掲げる街「TAKANAWA GATEWAY CITY」は、まちびらき後初めて迎える正月に合わせ、2026年1月2日、同市の高輪辻広場にて新春イベント「新春高輪横丁」を開催する。TAKANAWA GATEWAY CITYにおける文化発信および地域連携を目的とした新春企画......
政府、「ビジネスと人権」行動計画を改定 AI・環境など8重点分野で企業の取り組み加速へ 政府は2025年12月24日、企業活動における人権尊重の取り組みを促進するため、「ビジネスと人権」に関する国別行動計画(NAP)の改定版を決定した。2020年に策定された初版に続く今回の改定は、欧州を中心にサプライチェーン上の人権侵害をめぐる規制が法制化されるなど、国際的に企業活動への監視が強まっていることを受けたものだ。政府は新たな計画を通じ、日本企業の国......
高市早苗首相、総理公邸へ引っ越し完了 ラフなトレーナー姿に「親近感」の声 高市早苗首相は29日、東京・赤坂の衆議院議員宿舎から総理公邸への引っ越しを行った。就任から約2カ月での入居となる。今回の公邸入居は、災害時などの危機管理体制を強化する狙いがある。公邸への入居にあたっては、脳梗塞の後遺症で車椅子生活を送っている夫の山本拓氏に配慮し、居住スペースのバリアフリー化工事が行われていた。引っ越し当日、公用車から降り立った高市首相は、普......
日本のBL漫画家、台湾サイン会が中止に 台湾版に「中国国旗」表示し批判殺到 台湾の出版社・青文出版(Chingwin Publishing)は2025年12月29日、2026年2月7日の台北国際動漫節などで予定されていた日本のBL漫画家・ニクヤ乾氏のサイン会を全面的に中止すると発表した。ニクヤ乾氏が自身のSNSで、台湾で販売される中国語版作品に中国の国旗(五星紅旗)を表示したことや、その後の配信での発言が台湾国内で強い反発を招いたこ......