NASA、月面拠点整備へ組織再編 有人宇宙飛行と原子力技術を重点化

2026-05-26 20:53
大規模な部門再編に乗り出す米航空宇宙局(NASA)。(写真/AP通信提供)
大規模な部門再編に乗り出す米航空宇宙局(NASA)。(写真/AP通信提供)

米航空宇宙局(NASA)は24日、大規模な組織再編を発表し、月面および深宇宙領域における米国の開発計画を全面的に加速させる方針を明らかにした。この再編は、米大統領のドナルド・トランプ氏が掲げる宇宙政策に連動する重要な一歩と位置づけられており、宇宙飛行士の月面着陸、恒久的な月面基地の建設、そして原子力宇宙技術の推進を中核的な目標としている。

今回の再編は、ドナルド・トランプ米大統領が2025年12月18日に署名した大統領令「Ensuring American Space Superiority(米国の宇宙における優位性の確保)」に沿ったものとなる。同大統領令は、アルテミス計画を通じて2028年までに米国人宇宙飛行士を月面に帰還させ、2030年までに恒久的な月面前哨拠点の初期要素を整備する方針を掲げている。

NASAのジャレッド・アイザックマン長官は、今回の再編について、国家宇宙政策に基づく優先度の高い任務に人材と資源を集中させる取り組みだと説明した。不要な官僚的手続きや進捗を妨げる障壁を減らし、任務遂行の迅速化を図るとしている。

大統領令を受け、月面拠点と原子力技術を重点化

​トランプ氏の大統領令は、月探査に加え、宇宙空間での原子力利用も重点政策に位置づけている。月面や軌道上で原子炉を利用する取り組みを進め、2030年までに打ち上げ可能な月面用原子炉を準備することを目標としている。

NASAは3月に開いたイベント「Ignition」で、国家宇宙政策に沿った重点課題を示していた。月面での活動基盤の構築や宇宙用原子炉の開発、商業宇宙活動の拡大、科学探査の推進などを挙げており、今回の組織再編はこれらの方針を実行に移すための体制整備となる。

アルテミス計画は、米国の有人月面探査の中核を担う。ホワイトハウスは、月面での継続的な活動を将来の火星探査につなげる考えを示しており、月面前哨拠点を火星探査に向けた次の段階を可能にする基盤と位置づけている。

有人宇宙飛行部門を統合 低軌道から月探査まで一元管理

新たな組織体制では、探査システム開発ミッション局(Exploration Systems Development Mission Directorate、ESDMD)と宇宙運用ミッション局(Space Operations Mission Directorate、SOMD)を統合し、有人宇宙飛行ミッション局(Human Spaceflight Mission Directorate、HSMD)を設置する。

HSMDは、低軌道での有人活動と月探査を一元的に担う。国際宇宙ステーションを含む低軌道での活動から、将来の月面任務に向けた有人飛行計画までを統括し、NASAは任務間の連携や意思決定の迅速化につなげるとしている。
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また、NASA傘下の各ミッション局は今後、長官に直接報告する体制となる。各NASAセンターの所長は引き続き、アソシエート・アドミニストレーター(Associate Administrator)のアミット・クシャトリヤ氏に報告する。クシャトリヤ氏は新たにNASAの主任技術者(チーフエンジニア)も兼務し、重要な技術判断における継続性と独立性の確保を担う。

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