日本の政治学者、同志社大学政策学部の吉田徹教授はこのほど実施した、「第2次高市内閣のゆくえ:日本の内政と今後の課題」と題するプレス・ブリーフィングにおいて、日本における当面の外交・安全保障戦略や、第2次高市内閣の施政路線、台湾およびインド太平洋地域の情勢について見解を示した。
吉田氏は、日本にとって最大の安全保障上の懸念は、「米国の戦争に巻き込まれる」から「米国に見捨てられる」へと徐々に移り変わっていると指摘。そしてそのことが、近年、日本が韓国との連携を強化し、インド太平洋戦略を推進する重要な背景になっていると説明した。
FOIP構想、より広範なインド太平洋安全保障網の構築へ
インドネシアメディアの記者からの「南シナ海問題や台湾情勢、エネルギー安全保障のいずれにおいても、日本が単独で対応することは困難であり、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携が不可欠となっている」との指摘に対し、吉田氏は、それこそが安倍晋三氏政権が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想を提唱して以降、日本が関連戦略を推進し続ける重要な背景だと答えた。
また、日本が近年、防衛装備品の輸出制限を段階的に緩和している背後には、単なる軍事政策の転換だけでなく、アジアにおける地政学的環境の変化があると指摘。日本は「グローバルサウス」諸国といかに深い協力関係を築くべきかを模索する必要に迫られていると述べた。日本の現在の安全保障戦略は、もはや伝統的な日米同盟の枠組みにとどまらず、インド太平洋地域においてより広範な安全保障協力ネットワークの構築を目指しているとの認識を示した。
ASEANとの安保協力に懸念、共通の価値観や制度的理念の欠如
一方で、吉田氏は日本のインド太平洋戦略が抱える大きな懸念にも言及した。
日本は、ASEANやグローバルサウス諸国に積極的なアプローチを見せる裏で、「理念の空白」という問題に直面していると同氏は分析する。すなわち、将来の東アジアにどのような国際秩序や規範(Norms)を構築すべきかについて、ASEANとの間で明確なコンセンサスが未だ形成されていないと指摘。共通の価値観や制度的理念による裏打ちがなければ、日本とASEAN間の安全保障協力は将来的に短期的かつ場当たり的(Ad-hoc)な利益交換に陥る恐れがあり、真に強固な地域安全保障枠組みを形成するのは困難だと警鐘を鳴らした。
こうした見立ては、現在のインド太平洋戦略における現実的な限界をも浮き彫りにしている。多くのASEAN諸国は日本との協力を望みつつも、同時に中国の市場やサプライチェーン(供給網)への依存度が高いため、米中対立において明確な陣営選択を避ける傾向が強い。 (関連記事: 高市総理、5月1日からベトナム・豪州を歴訪へ 経済安保やFOIPの進化を協議 | 関連記事をもっと読む )
高市路線の核心:外交的リアリズムと国内的保守主義の並行
第2次高市政権について仮説的な見通しを示した際、吉田氏は、高市首相は世間では強硬な保守派と見なす向きが一般的だが、実際の政治路線は「外交における現実主義」と「国内向けの保守主義」を使い分けるモデルに近いとの見方を示した。


















































