米タフツ大学(Tufts University)国際歴史学教授で、ベストセラー『半導体戦争』の著者として知られる政治学者、クリス・ミラー氏がこのほど、台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の単独インタビューに応じた。ハイテク分野における現在の米中覇権争いを背景に、中国政府は国内の先端産業に対する補助金をさらに拡大させる方針だと指摘。その結果、台湾を含む主要な貿易相手国との間で、将来的に貿易摩擦が激化するとの見方を示した。
さらにミラー氏は、中国が現在直面している経済的なジレンマについて言及した。中国政府は国内産業への財政支援を強化する一方で、一般家庭や消費経済に対する支援を削減せざるを得ない状況にあるという。その結果として、中国の輸出製品は海外市場でのシェアを維持・拡大している一方で、国内経済の悪化は進行しており、若年層の雇用問題や賃金上昇の鈍化といった問題が顕在化し始めていると分析した。
ミラー氏は、これが短期的に中国経済の破綻を意味するわけではないとしつつも、中国指導部にとって中長期的な課題となることは間違いないと強調した。その上で、台湾が取るべき対応策として、国内産業の保護、迅速な技術革新(イノベーション)の確保、国防の強化の3点を提示した。これら対策を講じることで、中国経済の停滞がもたらす負の波及効果(スピルオーバー効果)に効果的に対処し、同時に台湾に対する中国の軽率な行動を抑止できると論じた。

台湾の行政院国家科学技術委員会(国科会)傘下のシンクタンク、科学技術・民主主義・社会研究センター(DSET)は今月6日、台北市内で2026年度の年次フォーラム「サプライチェーン強靭化戦略国際サミット」を開催。同フォーラムにはミラー氏をはじめとする米国の専門家や学識者が招かれ、半導体サプライチェーンに関するセッションに登壇した。
フォーラム出席に先立って風傳媒の単独インタビューに応じたミラー氏は、中国は今後数年間も、過去数十年と同様の手法を踏襲すると予測。バッテリーや太陽光発電、さらに半導体の製造に至るまで、引き続き国家補助金などの財政的手段を用いて国内の先端技術産業を育成する方針で、これが結果的に中国と主要な貿易相手国との産業摩擦を一段と深める要因になると指摘した。 (関連記事: 「台湾は中国の一部」を日本が認めたことはない、親台派議連会長が教科書の是正推進を表明 | 関連記事をもっと読む )
また、ミラー氏は経済協力開発機構(OECD)が今月初めに発表した重要な報告書に言及。同報告書は、2005年から2024年にかけて、世界に重要な15の産業における大手企業525社が各国政府から受けた補助金と、それが収益の押し上げや市場シェアの拡大にどのような関係しているかを分析したものだ。研究の結果、2024年にこれらの企業が受け取った政府補助金の総額は1080億米ドルに達し、各企業の総収益の1.3%を占めたことが明らかになった。この数値は、2009年の世界金融危機(リーマン・ショック)以降で2番目に高い水準である。


















































