早期アルツハイマー病の新薬が台湾で登場 対象患者、治療期間、費用を解説

2026-06-13 11:00
認知症は現在、早期診断が可能になっただけでなく、早期予防を意識する段階に入りつつある。写真はイメージ。(写真/pakutasoより)
認知症は現在、早期診断が可能になっただけでなく、早期予防を意識する段階に入りつつある。写真はイメージ。(写真/pakutasoより)

台湾が超高齢社会に入る中、認知症患者数も増加を続け、40万人に迫っている。今後15年で倍増するとの予測もある。認知症にはさまざまなタイプがあるが、最も多いのはアルツハイマー病によるもので、全体の6〜7割を占めるとされる。

アルツハイマー病では、脳内にアミロイドβが異常に蓄積し、プラークを形成する。これがタウタンパクの異常を引き起こし、神経細胞の損傷、萎縮、細胞死につながると考えられている。長年の研究開発を経て、脳内の異常なアミロイドβを除去する2種類の新薬が承認され、台湾でも臨床使用が可能になった。ただし、対象となるのは、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症と確認された患者に限られる。

台湾の双和医院(新北市)認知症センター長の黄立楷氏は、認知症の進行は長い時間をかけて進むものであり、目に見える症状が出る前から、脳内では病理学的変化が何年も前から進行していると指摘する。

アルツハイマー病の初期症状としてよく見られるのは、短期記憶の低下だ。つい先ほど話したことや行ったことを忘れ、家族の声かけに頼るようになる。この段階では、本人は時折物忘れをする程度で、日常生活は自立している場合が多い。これは軽度認知障害(MCI)に分類され、厳密には認知症の診断基準には達していないが、治療介入を考える上で重要な時期にあたる。

これまで病気の進行を変える薬は限られていた

​黄氏によると、これまではアルツハイマー病の病態そのものを変える薬はなく、従来薬は主に症状を和らげたり、進行を緩やかにしたりする対症療法に限られていた。また、MCIの背景にある病理が本当にアルツハイマー病によるものかを確認するための、生物学的指標を広く利用する環境も十分ではなかった。

しかし、2023年から2024年にかけて米国で新薬が承認され、台湾でも2025年に承認が進んだ。台湾で承認された新薬「ドナネマブ(商品名:ケサンラ®)」と「レカネマブ(商品名:レケンビ®)」は、臨床試験でアルツハイマー病患者の脳内に蓄積した異常なアミロイドβを除去し、病気の進行を遅らせる効果が確認されたとされる。

これに伴い、脳脊髄液検査や脳アミロイドPET検査などのバイオマーカーを用いて、MCIや認知症の原因がアルツハイマー病であるかどうかを確認する重要性も高まっている。

20260604-N501治療軽度認知障害(MCI)または軽度アルツハイマー病新薬
新薬は、軽度認知障害(MCI)または軽度アルツハイマー病の患者を対象としている。

では、MCIの段階では外から見て一般の人とほとんど区別がつかず、日常生活も自立しているにもかかわらず、本人や家族はどのように受診のタイミングに気づけばよいのか。
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黄氏は、MCI段階の患者は周囲から見ると変化が分かりにくいものの、本人は「以前の自分とは違う」と感じていることが少なくないと説明する。特に短期記憶の抜け落ちが増え、「歯を磨いたか」「朝食を食べたか」「慢性疾患の薬を飲んだか」といった日常の些細なことを思い出せない場面が増える。周囲が気づいていなくても、本人は不安や焦り、挫折感を抱くことがあるという。

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