半導体設計大手のArm社が、CEOのレネ・ハース氏が自ら司会を務めるPodcast番組を開始した。第一回では、NVIDIA CEOの黄仁勲(ジェンスン・ファン)氏をゲストに迎え、人材採用、意思決定、プレゼンテーションのテクニックなどについて対談を行った。
ファン氏が採用時に重視する「1つの鍵」とは
Armは10月から毎月、ハースCEOが業界リーダーを招き、キャリアにおける成功と失敗の物語を語り合うPodcast番組を配信している。初回はNVIDIA本社で収録、独特の経営文化で知られるNVIDIAの人材採用方法を尋ねた。
ファン氏は、採用は暗闇の中で射撃するようなもので常に成功するわけではないと答えた。「面接は適性を判断する最良の方法ではないと考えています...YouTubeでも面接のやり方を見れば多くのことを学べますし」。彼は背景調査を挙げ、その理由として、人は面接で素晴らしいパフォーマンスを見せることができるが、「過去から逃れるのは難しい」と述べた。また、深い質問で相手の推論プロセスを理解することを好むと語った。
NVIDIAの企業文化
企業文化について、ファン氏は従業員にビジョンと戦略、そして何のために闘うのかを説明することに多くの時間を費やすと述べた。これにより、NVIDIAは透明性で知られており、従業員が多くの情報を理解すればするほど、会社のために正しい決定を下す能力が高まるそうだ。「我々は世界で『最小の』大企業の一つだ」と語った。
ハース氏は、NVIDIAの経営陣が不確実性に適応する能力に感銘を受けたと述べ、組織の異なるレベルで適切な人材を見つけ出す能力を評価した。ハース氏は7年間NVIDIAで働いた後、2013年にArmに加入したが、NVIDIAで働いていた際、経営陣が直接部門を超えて適切な人材を探し、問題解決のためにそのグループを集め、驚いたそうだ。
ファン氏は、NVIDIAがフルスタックのコンピューティング企業であり、GPU・CPU・チップ・スイッチを製造し、チップアーキテクチャの設計やソフトウェア開発も行っていると説明。これは協力と分業を意味し、各組織は孤立した単位ではなく、人材を育成するプラットフォームとして機能するという。
彼は、「最も重要なのは『ミッション』が真の上司であり、それが会社全体を貫いていることだ」と述べた。
NVIDIAの将来の発展とビジョン
NVIDIAは過去に400億米ドルでArmの買収を試みたが最終的に破談となった。両CEOはこの過去の出来事についても触れた。ファン氏はユーモアを交え「君がまだ悲しんでいるのはわかっているよ」と言い、ハース氏も「毎日まだ少し泣いている」と答えた。そしてNVIDIAによるMellanox Technologiesの買収がほぼシームレスに統合されたことを称賛した。 (関連記事: 【半導体】チップのファーウェイ転売か―TSMC供給停止、米下院「規制政策の失態」 | 関連記事をもっと読む )
ファン氏は、Mellanox買収のビジョンは、計算ユニットをGPUだけでなく周辺機器全体にすることだったと説明。その後、NVIDIAはSoC(System-on-Chip)の開発に転換し、GPUの会社からコンピューティングに特化した会社へと進化した。