《スクープ》台湾軍にスパイ網! 選挙捜査で判明、現役軍人が中国に通じる!暴力団と結託、戦略拠点が標的に

蘇澳軍港に停泊する台湾海軍の塔江艦(左)、安江艦、萬江艦。郭台銘氏の総統選挙署名活動に絡む贈収賄捜査から、思わぬ展開で中国による台湾軍への浸透工作が発覚した。(撮影:陳昱凱)
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台湾海峡の情勢は複雑で、両岸の対立は外交、軍事、認知戦の他に、表面化していない諜報戦も行われている。10月23日、検察総長の邢泰釗は宜蘭に急いで向かった。これは、地方警察が摘発した国家安全保障事案のためだった。注目すべきは、この国家安全保障事案が鴻海創業者の郭台銘の大統領選挙に関連する組織、暴力団、軍、そして中国本土に関係していたことだ。

この事案の最も特徴的な点は、その発端が宜蘭羅東分局の警察官・林聖展が、郭台銘の大統領選挙署名活動における買収疑惑を捜査中に発見したことだった。その後、宜蘭地方検察署が介入し、検察総長が重要部隊を派遣したところ、背後に台湾の暴力団と中国とのつながりが判明した。事件自体は郭台銘とは無関係だったが、彼に関連する事案の捜査から糸口を見つけたものだった。事態の深刻さは、台湾の暴力団と中国が結託して軍事要塞の士官兵に浸透し、蘇澳や基隆で逮捕者が出たものの、まだ潜伏者がいることにあった。邢泰釗が宜蘭に赴いたのは、事態が重大だったためだ。

總統蔡英文今(8)日上午前往基隆「威海營區」,視導海軍131艦隊。(蘇仲泓攝)
​中国は台湾の暴力団を通じて借金を抱えた軍人に接触、軍事機密の漏洩を画策していたことが判明。(撮影:蘇仲泓)​

基層警察官の鋭い直感で重大事件を摘発

基層警察官の機転により、郭台銘の署名活動事案を捜査中に国家安全保障上の問題に気付いた。羅東の警察官・林聖展は、質屋の店主の携帯電話の内容をデジタル鑑識中、ある軍人が質屋の店主に自撮り動画で金儲けができる手段を自慢する内容を発見した。この発言の意味が分からず、林は多くの警察関係者に尋ねたが、「暇な兵士の自慢話だ」と言われ、深く考えないよう助言された。

しかし、林は違和感を払拭できず、検察官の曾尚琳に疑問を投げかけた。「軍人+自撮り動画+情報売買は、投降ビデオではないか」と。司法官第59期修了の検察官経験4年の新人である曾も、この発言が単純ではないと感じ、真剣に林に「捜査してみましょう」と答えた。調査を進めると驚くべき事実が判明し、この事案の背後には中国が暴力団や寺院を通じて多数の軍人をスパイとして獲得していた共諜事案があったのだ。

検察は2024年6月に6波に分けて捜索・聴取を実施し、天道盟寶陽会の李姓女性副組長や陳姓、彭姓らの被告が中国のために組織を発展させ、劉姓ら7名の軍人が10万から30万元の報酬で投降ビデオの撮影や軍事機密の提供を行っていたことを突き止めた。検察は10月23日に捜査を終結し、汚職防止法、陸海空軍刑法、国家安全法違反などの容疑で起訴したのだ。​​​​​​​​​​​​​​​​ (関連記事: 安倍に2度敗れ、5度目の挑戦でついに当選!「鉄道オタク」石破茂が初の鳥取県出身首相に 関連記事をもっと読む

檢察總長邢泰釗表揚偵查佐林聖展。(取自最高檢官網)
​羅東署の林聖展警部補(右)は郭台銘の総統選挙署名活動に絡む贈収賄事件を捜査中、偶然にスパイ事件を発見。邢泰釗検察総長(左)が直接表彰を行った。(最高検察庁HPより)​

暴力団+軍人+借金 中国が天道盟を通じて現役軍人を勧誘

警察が国家安全保障事案を扱うのは異例だ。1983年4月26日、41年前、台北市で一朝のうちに忠孝東路1段から忠孝西路4段にかけて2件の爆破事件が発生。いずれも新聞社が標的で12人が負傷、紛れもないテロ事件・国家安全保障事案として台湾史上に名高い「二報爆破事件」となった。台北市警察局が立件したものの、全情報機関が捜査に加わり、最終的に調査局が事件解決を発表した。