日本の低投票率問題:政治的無関心、高齢化、社会安定性が背景に
日本の投票率は過去10年間、低迷を続けている。総務省の発表によると、第50回衆議院選挙の投票率は53.85%で、前回2021年の55.93%から2.08ポイント減少し、戦後3番目に低い数字となった。これは2014年に記録した戦後最低の52.66%をわずかに上回る水準である。
専門家らは、この現象を日本国民の「政治的無関心」と関連付けており、特に若年層の政治参加意欲の低さが目立っている。澎湃新聞のインタビューで東京大学の小林哲郎教授は、多くの若者が「一票では現状を変えられない」と考え、また家庭や友人間で政治的議論が少ないため、日常生活における政治の存在感が薄れていると指摘し。
東北大学の河村和德准教授は、日本の経済的安定性と生活水準の向上により、国民の公共事務への依存度が減少し、個人生活への関心が高まっていると分析している。これが投票意欲の低下と政治的無関心の広がりにつながっているとしている。
自民党の長期政権と組織票の基盤が確立されている一方、野党の分裂により政権交代が困難な状況にある。北海学園大学の山本健太郎教授は、自民党の強固な組織票が「不敗の地位」を更に強化し、野党の分裂と実力不足により、有権者が不満を持っていても投票先を見出せない状況にあると述べている。
台湾の高投票率:中国要因、積極的な参加意識、選挙制度が後押し
対照的に、台湾の投票率は顕著に高く、特に総統選挙では過去10年間65%から75%の水準を維持している。2020年の選挙では多くの海外在住者が投票のため帰国し、有権者の強い参加意欲を示した。台湾の有権者は政治問題に対する関心が高く、選挙の透明性や選挙活動の活発さが、有権者の高い期待につながっているとされる。
中華経済研究院の徐遵慈研究員はVOAに対し、中国からの経済的圧力と軍事的脅威が、逆に台湾有権者の民主主義意識を強化し、台湾の安全と安定を守るため、積極的な投票行動につながっているとコメントしている。
2024年の総統選挙後、台湾大学の呉介民教授は「報導者」のインタビューで、台湾の高い民主的参加は制度の利便性だけでなく、選挙が民主主義を守り、自身の利益を守る手段だという認識が浸透しているためだと分析。特に中国からの圧力に直面する中、政治的雰囲気とメディアの報道が有権者の投票に対する意識を高めているとしている。
台日の有権者意識における顕著な差異
両国の投票率の違いは、異なる政治生態と社会環境を反映している。台湾では投票が政策に影響を与え、政治的立場を表明する重要な手段と認識されている一方、日本では自民党の長期政権と高齢化などの複合的要因により、選挙結果が社会変革をもたらすという信頼が失われ、政治参加から遠ざかる傾向が強まっているのである。
編集:佐野華美 (関連記事: 自民党惨敗、なぜ習近平氏が最大の勝者なのか?郭育仁氏:台日関係の改善は望めず | 関連記事をもっと読む )
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