米国大統領選挙のカウントダウンが進む中、自らをマフィアのボスと称する共和党の大統領候補トランプ氏は、台湾が米国の半導体ビジネスを「盗んだ」にもかかわらず「保護費」を支払っていないと非難し、特に「マフィアでさえ保護費を取る」と強調。トランプ氏の台湾に対する混乱した無慈悲な発言に対し、頼清徳政権は黙って保護費を用意するしかないのだろうか。
搾り取っても正当化し、台湾に極限まで圧力をかける
トランプ氏のこうした認識と発言は今回が初めてではない。今年7月、彼は衝撃的な発言を行い、台湾が半導体市場をすべて奪い、米国は保険会社のような存在なのに何も得ていないため、台湾は米国による防衛費用を支払わなければならないと述べた。さらに「台湾は9500マイル離れているが、中国からはわずか68マイルしか離れていない。米国が台湾を中国の攻撃から守るのは非常に困難だ」と述べ、台湾防衛の意思を示さなかった。
まず、トランプ氏は米国をマフィアのボスに例え、台湾に引き続き保護費を要求している。これはトランプ氏が同盟国に極限まで圧力をかける常套手段である。2017年から2021年の間、トランプ氏は日本・韓国政府に対し、防衛費負担の増額に反対すれば、在日米軍・在韓米軍の撤退を決定する可能性があると繰り返し警告した。トランプ氏はさらにNATO32カ国のうち、国防支出がGDP比2%に満たない国々を批判の矢面に立たせた。
台湾には韓国という前例がある。米韓は今年10月初めに第12次防衛費分担協定を締結し、有効期間は2026年から2030年まで、初年度の韓国側負担額は1.5兆ウォン(約1,550億円)で、2025年比8.3%増となった。この巨額の見返りこそが、韓国が支払う「保護費」である。この前例から、台湾も同じ運命を免れることは難しいと見られている。
金を取っても商品を渡さない、どうしようもないだろう
トランプ氏は最近、台湾の国防費支出をGDPの10%にすべきだと提案し(現在2.45%)、台湾の各界は驚愕した。台湾の来年(2025年)の国防予算は6470億台湾ドル(約2兆8,470億円)で過去最高を記録したが、トランプ氏の法外な要求通りにすれば、台湾の総予算から国防費と公務員給与を差し引いたら、ほぼ底をつき、何もできなくなってしまう。
米国は台湾への武器売却を続けているが、先に代金を受け取り、納品を遅らせたり、納品しなかったりしても、民進党政府は為す術がない。米国のシンクタンク「ケイトー研究所」(CATO Institute)が2024年9月に発表した統計研究報告によると、今年8月までの米国の対台湾武器売却における未納品の装備の累計金額は205.3億ドル(約3兆850億円)に達し、台湾の来年度防衛予算の6470億台湾ドルをはるかに超える驚くべき金額となっている。もしトランプ氏が政権に就けば、彼の以前の発言通り台湾の国防予算をGDPの10%にするよう要求し、4倍に膨らむことになる——これはどう考えても不可能である。
(関連記事: 台湾でスターリンク参入見送り 米有力紙:「マスク氏の『台湾は中国のハワイ』発言が影響」 | 関連記事をもっと読む )次に半導体について。張忠謀氏はTSMCが兵家必争の地だと述べたが、トランプ氏は台湾が半導体を「盗んだ」と言い、保護費の値上げを示唆した。トランプ氏の以前の発言を検証すると、米国は愚かすぎて、超金持ちの台湾に半導体ビジネスを「奪われた」としている。「奪った」から「盗んだ」へと表現が変化したが、彼の意図は明確である——台湾の「保護費」をさらに上乗せしなければならないということだ。