国防部:中国、北朝鮮のロシア派兵に言及避ける ─ 「中国流」国際安全保障秩序の構築を図る

2024-11-06 08:04
北朝鮮は先日、ロシア・ウクライナ戦争に軍を派遣したが、中国はこの件についてのコメントを避けている。写真は2019年4月、ロシアのプーチン大統領(右)と北朝鮮の金正恩指導者(左)がロシアで会談。(資料写真、AP通信)
北朝鮮は先日、ロシア・ウクライナ戦争に軍を派遣したが、中国はこの件についてのコメントを避けている。写真は2019年4月、ロシアのプーチン大統領(右)と北朝鮮の金正恩指導者(左)がロシアで会談。(資料写真、AP通信)
目次

北朝鮮のロシア派兵と中国の沈黙

北朝鮮が先日ロシアへの軍事支援を行い、同時に朝鮮半島の情勢が緊迫化し、さらに米国大統領選挙が迫る中、多方面の情勢変化により地域の安全保障情勢が変動している。国防部は、中国が「グローバル安全保障イニシアチブ」の枠組みを推進することで、「中国的特色」を持つ国際安全保障の構造を形作ろうとしていると述べている。また、現段階で中国は認知戦と軍事的圧力を継続し、台湾に対するグレーゾーンでの攪乱を続けるとしている。

台湾国防部の分析

台湾立法院外交国防委員会は6日、国家安全局と国防部を招き、「北朝鮮のロシア・ウクライナ戦争参戦、南北朝鮮の対立、日本の衆議院改選が台湾の地政学的戦略的地位に与える影響」について特別報告を求め、質疑応答を行っている。現在、報告書は既に立法院に提出されている。

国防部は、北朝鮮外務省が韓国による無人機の平壌への派遣を非難し、「扇動的な噂やゴミのような内容」のビラを散布したとして、この行為を「武力衝突を引き起こし、戦争に発展する可能性がある」挑発行為と描写し、南北協力計画で建設された京義線と東海線の鉄道を爆破したと述べている。

中国の外交戦略

地域安全保障への影響について、国防部は、北朝鮮が鉄道を爆破した後、中国は南北両国に挑発行為の停止を呼びかけ、北朝鮮のロシアへの軍事派遣についてのコメントを避けたと指摘している。これは中国が「グローバル安全保障イニシアチブ」の枠組みを推進することで、「中国的特色」を持つ国際安全保障の構造を形作ろうとしていることを示している。現在の世界的な紛争が続く国際情勢を利用して、中国が紛争調停者としてのイメージを作り、国際的影響力を強化しようとしていると分析している。

米国の対応戦略

国防部は、米国防総省が北朝鮮のロシア・ウクライナ戦争参戦に関して、ウクライナに対する米製武器の使用に新たな制限を課さないとしながらも、ロシアへの深い打撃は避けると表明したことを指摘している。これは米国が地域紛争の拡大を避け、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス紛争などの情勢が、米国のインド太平洋安全保障問題への対処能力を分散させることを防ごうとしていることを示している。米国はインド太平洋地域において、引き続き同盟国と連携して中国の軍事拡張を抑制する方針である。

韓国の抑制的対応

また、国防部は、北朝鮮の最近の対韓挑発行為について、米国との交渉における駆け引きの材料を増やそうとする意図があると指摘している。韓国は強い反応を示さず、北朝鮮の発言力を抑制し、地域の安全保障情勢を安定させようとしている。また、11カ国と「多国間監視グループ」を結成し、各国が北朝鮮に対する制裁を確実に実施しているかを継続的に監視している。

台湾への影響

地域環境の変動が台湾に与える影響について、国防部は、EUとNATOがロシア・ウクライナ戦争に対応する中、NATOが2022年以降、3年連続で首脳会議声明で「台湾海峡の平和と安定の維持は極めて重要であり、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である」と述べていると指摘している。韓国と米国が開催した「安全保障協議会議」の共同声明でも、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調しており、国際社会が中国の地域覇権化を望まず、中国に対抗する最前線としての台湾の戦略的地位を重視していることを示している。

国防部はまた、中国の対台湾政策が内外の要因に動かされていると述べている。内部要因には政権の安定、ナショナリズム、経済発展の圧力などがあり、これらが中国の強硬な立場を促している。外部要因としては、米中競争の激化や地域の地政学的変化などが中国に課題をもたらしている。現段階で中国は認知戦と軍事的圧力を継続し、台湾に対するグレーゾーンでの攪乱を続けるとしている。

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