米国の最も親密な同盟国であるカナダは、新トランプ政権下で最も深刻な打撃を受ける可能性がある。多くの専門家は、トランプ氏の貿易、関税、移民、国防政策により、カナダは困難な課題に直面すると考えている。
全面的な関税政策がカナダに打撃
カナダは前トランプ政権での鉄鋼・アルミニウム関税で両国関係が緊張した。今回トランプ氏は米国に入るすべての輸入品に10%の関税を課すことを約束しており、カナダは特に打撃を受ける。
米国はカナダの最大の貿易相手国で、総貿易額の約80%を占めている。
ワシントンのシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所の報告によると、カナダほど米国に依存している国は少なく、そのためカナダは最も深刻な打撃を受ける国の一つとなる。経済専門家は、カナダのGDPの5%に影響を与える可能性があると懸念している。
元国連大使で現カナダ商工会議所上級顧問のルイーズ・ブレイスは、「米国のサプライチェーンはカナダと高度に統合されており、我々は共に製品を生産し、カナダは彼らの最大の顧客である」と常に米国に認識させる必要があると述べている。
同時に、新北米自由貿易協定(USMCA)は2026年に再交渉を迎え、関税以外でもトランプ政権は更なる圧力をかけるだろう。ブレイスは、自動車産業、乳製品、デジタルサービス税などの分野で、加米間に大きな摩擦が生じる可能性があると指摘している。
カナダは国防支出の増加を余儀なくされる
前トランプ政権下の元駐カナダ大使ケリー・クラフトと元国防副次官補エルブリッジ・コルビーは選挙前から、カナダは国防支出の増加を加速させる必要があると強調していた。
トルドー政権は2032年までにNATOの国防支出目標であるGDP比2%を達成すると約束したが、ワシントンはこれに安堵していない。共和党の重鎮マイク・ターナー下院議員は最近の記事で、カナダを「NATOの最大の脅威」と揶揄した。トランプ氏は2%目標を達成できない同盟国は保護しないと強調している。
カナダ外務省元首席補佐官でStrategyCorp副社長のギャリー・ケラーは、2%目標はカナダにとって課題が多いと指摘する。金銭的な問題だけでなく、適切な人材の確保など、全体的な資源不足が問題だとしている。
米加国境に難民が殺到する恐れ
トランプ氏は数百万人の不法入国者の大規模追放を約束しており、多くの人々が北上してカナダに庇護を求めることを検討し始める可能性がある。
ワシントン・ウィルソンセンターのカナダ研究所所長クリストファー・サンズは、「人々は強制送還を避けるためにカナダへの逃避を試みる可能性がある」と述べている。
トルドー政権は従来、移民や難民に友好的で、2017年にトランプ氏がムスリム諸国に入国禁止令を出した際、トルドー氏は戦争や迫害から逃れる人々を歓迎するツイートを投稿した。 (関連記事: 台湾、コロナ後の回復率5割未 「消えた日本人観光客の呼び戻しへ」円高前の準備急ぐ | 関連記事をもっと読む )
しかし今日のカナダは移民・難民が多すぎる問題に直面しており、先月、トルドー政権は不動産市場の圧力を緩和するため移民数の削減を発表した。その際トランプ氏はソーシャルメディアで「トルドーでさえカナダの国境を閉鎖しようとしている」と投稿した。