日米関係に不安要素?石破茂首相再任 東大研究者:少数与党による政権運営は難路

2024-11-12 12:35
自民党総裁石破茂が日本の首相に当選した。(資料写真、AP通信)
自民党総裁石破茂が日本の首相に当選した。(資料写真、AP通信)
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国会は11日、首相指名選挙を実施し、30年ぶりに決選投票に突入した。最終的に、自民党総裁の石破茂が決選投票で勝利し、再び首相に当選した。東京大学東洋文化研究所特任研究員の林泉忠は『風伝メディア』のインタビューで、自民党は石破茂を再び首相に就任させることに成功したものの、少数与党として「前途多難」であり、今後の政権運営は課題が山積みだと指摘した。石破茂が直面する最優先の課題は、政権の安定化と政権維持期間の延長であり、特に「弱い与党」という状況下で、いかに効果的な政治運営を行うかが重要な課題となる。

林泉忠の研究は、アイデンティティと地政学的問題を包括し、中央研究院、ハーバード大学など多くの国際学術機関で職務を歴任し、琉球大学、台湾大学などで国際関係を教授し、東アジアの政治と歴史について深い見識を持っている。また、東アジアの国際関係研究、特に台湾、琉球、日中関係などの問題に精通しており、関連分野の研究における重鎮である。

東京大學東洋文化研究所特任研究員林泉忠受訪時談及日本眾議院選舉結果。(黃信維攝)
​東京大学東洋文化研究所特任研究員の林泉忠が首相指名選挙について語った。(資料写真、黄信維撮影)​

少数与党の事例は少なく、石破茂の信頼度は低迷

林泉忠は、日本における少数与党の例は多くないと振り返った。1994年に新生党の羽田孜が同様の状況下で短期間政権を担当し、すぐに退陣したという歴史的事例も、石破茂にさらなる圧力をかけている。来年7月の参議院選挙が次なる試練となり、半数改選のため影響は比較的限定的だが、現時点から半年しかなく、与党がこれほど短期間で立て直しを図り、国民の信頼を回復することは困難を極める。石破茂内閣の発足後の支持率はわずか3割程度で、国民の信頼度の低迷を示している。このような低支持率の中、石破茂が「前途多難」の窮地を脱し、自民党の与党基盤を再構築できるかが大きな課題となる。

林泉忠教授は、石破茂が直面する政権運営の課題は、前首相の岸田文雄が任期中後期に直面した状況と類似していると分析した。すなわち、支持率の継続的な低迷と各方面からの圧力である。石破茂は衆議院選挙で「大逆転」に直面したが、その主な理由は国民の自民党に対する信頼喪失にある。政府が先に「政党資金改正法」を推進したものの、国民の支持を得られず、今回の選挙の敗北につながった。石破茂が支持を取り戻すには、野党の要求により大きな譲歩を迫られる可能性があるが、そのような措置を講じても国民の信頼を本当に回復できるかは不確実で、「石破茂が譲歩しても、国民の好感度は上昇するだろうか?それは非常に困難なことである」。 (関連記事: 台湾最強の老街は旗山でも淡水でもない!第一位は962万人を集客、訪問客「見所も美食も沢山」と絶賛 関連記事をもっと読む

予算案が石破茂の大きな試練に 安倍は靖国神社参拝で論争を冷却

さらに林泉忠は、来年3月の予算案が石破茂内閣にとって重大な試練になると指摘した。野党との効果的な協議と妥協が必要で、そうでなければ予算案の円滑な通過が困難となり、政府の機能停止につながる可能性がある。新年を迎えるにあたり、この財政問題は石破茂が年初に緊急に対応すべき課題となる。過去の経験によれば、石破茂が任期中に論争を呼ぶ政治的措置を実施する場合、年末までの行動を検討する可能性がある。2013年に同様の状況があり、当時の安倍晋三首相は年末に靖国神社を参拝し、年末年始の時期を利用して論争を急速に冷却させた。

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