米国次期大統領トランプ氏は、選挙期間中に台湾問題について数回発言しており、台湾に軍事費の増額と「保護費」の負担を求めることなどを含んでいる。これについて、米国前国連大使で、トランプ政権下で最も長く国家安全保障顧問を務めたボルトン氏は、番組「アイイーが知りたい」のホスト范琪斐のインタビューに応じ、最近ワシントンの一部で「台湾はフリーライダー」という声があり、米国が戦略的曖昧さの下でも、ほとんどの場合台湾を支援する姿勢を示していることが、台湾に誤った安全保障感を与えているとの認識を示している。
ボルトン氏は、トランプ氏が確かに国内政治の圧力に制約されるものの、再選を目指す必要もなく、有権者に向き合う必要もないため、トランプ氏の対中国および他の地域における主要な関心事は関税であり、もし米国が中国や他国と実際に貿易戦争に入れば、台湾の状況は軽視されることになると指摘。
ボルトン氏は、中国は国内問題への対応に追われており、このような状況下で台湾にさらなる圧力をかける可能性は低いとしている。しかし、中国の習近平国家主席がトランプ氏に電話をかけ、貿易協定を共同で締結することを提案する可能性もあり、その場合トランプ氏はすぐにその提案を受け入れるだろうる。そのため、トランプ氏が過去に対中強硬派であったとしても、瞬時に態度を変える可能性があり、これは他のいかなる問題に対するトランプ氏の立場と同様だ。
トランプ氏が言及した「保護費」について、ボルトン氏は、金額は台湾の交渉力次第だが、トランプ氏とのいかなる合意にも大きな信頼を置くべきではないと述べた。最近ワシントンの一部で「台湾はフリーライダー」という声があり、米国が戦略的曖昧さの下でも、ほとんどの場合台湾を支援する姿勢を示していることが、台湾に誤った安全保障感を与えている。ボルトン氏は台湾人が脅威の所在を十分認識し、抵抗を決意していると考えているものの、ワシントンではこうした声が依然として存在していると指摘。
「10%という数字は適当に言っただけ」 ボルトン氏:「実際トランプ氏は20%と言うこともできた」
ボルトン氏はさらに、蔡英文前総統や賴清德総統の過去の行動がこうした見方を払拭するのに役立っているものの、台湾はさらに多くのことができると述べた。例えば、武器の備蓄や供給の増強などである。実際、ソ連崩壊と冷戦終結後、多くの世界の民主主義国家が国防への長期的投資が不十分であり、国際政治のリスクが消滅したと考える人々が常にいたが、振り返ってみると明らかに大きな間違いであったため、台湾は国防予算を負担とみなすべきではない。 (関連記事: 論評:トランプ氏の極限圧力 台湾は保護費を払うしかないのか? | 関連記事をもっと読む )
トランプ氏が言及した台湾のGDPの10%、政府年間予算の80%までの国防予算増額について、ボルトン氏は、10%という数字はトランプ氏が適当に言っただけであり、トランプ氏にとっては違いがないため、20%と言うこともできたと指摘。米国の国防支出に対する見方はGDPの約3%であり、世界の戦略的状況を考慮すると、現在はレーガン元米国大統領時代の水準、少なくとも4~5%、場合によっては6%に戻る必要があるかもしれない。すべての国がこの数字に達する必要はないが、2%は確実に不十分であり、米国が国防予算を増額するにつれて、台湾の国防予算も上昇することになる。