セブン&アイ・ホールディングスの前身は洋華堂(ようかどう)であり、伊藤雅俊氏が1920年に東京で創業した衣料品店だ。店名は日本語で「洋式の繁華堂」を意味し、当時の西洋的生活様式への憧れを反映していた。この小さな店舗は、時を経て今日の小売り大手へと成長した。
伊藤雅俊氏は2023年に98歳で逝去。同氏は日本の小売業界の先駆者として称えられ、セブン-イレブンの発展に多大な貢献をした。その指揮の下、セブン&アイは日本国内での成長のみならず、世界規模で事業を展開し、世界最大のコンビニエンスストアチェーンの一つとなった。
しかし、伊藤氏の逝去後、セブン&アイは新たな局面を迎えている。カナダのコンビニエンスストア大手アリメンテーション・クーシュタード(ACT)が買収を仕掛け、この日本の小売り巨大企業の傘下入りを目指している。ACTの買収提案は日本国内で大きな注目を集めており、特にセブン-イレブンのような日本の文化に深く根付いたブランドが外資の手に渡る可能性に、多くの懸念が示されている。
この外資による買収に対抗するため、伊藤家は伊藤忠商事などの日本の投資家と連携し、経営陣による買収(MBO)を計画している。これは単なる事業権益の争いを超え、日本企業の主権と文化的象徴の保持にも関わる問題となっている。
伊藤家と伊藤忠、580億ドルの争奪戦開始
日本最大のコンビニエンスストアチェーン、セブン-イレブンの親会社セブン&アイは、前例のない規模の買収戦に直面している。創業者一族の伊藤家と伊藤忠商事らによる日本勢が、この国の小売業界の至宝を守るため、史上最大規模のレバレッジド・バイアウトを計画する一方、年間売上高692億ドルを誇るカナダのコンビニエンスストア大手クーシュタードが対抗し、この日本の小売り最大手を巡って激しい競争が展開されている。
日本連合、23%高値を提示、株価は買収価格を上回る
日本連合は580億ドルでのセブン&アイ買収を計画している。この金額は、クーシュタードが先月提示した470億ドルを23%上回る。この報道を受け、セブン&アイの株価は12%急騰し、買収提示価格を超える水準に達した。これは、さらなる値上げ競争への市場の期待を示している。
三大銀行が結束、過去最大の融資を支援
この記録的な買収資金は、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行という日本の三大銀行が共同で6兆円の融資を提供する予定で、日本の金融界の前例のない結束を示している。この融資額は、2007年のエナジー・フューチャー・ホールディングスの245億ドルを大きく上回り、世界のレバレッジド・バイアウト融資の新記録となる見込みだ。 (関連記事: セブン-イレブン、非上場化へ-経営陣が9兆円買収計画-ライバル企業・3メガバンクと連携-外資の傘下入り阻止 | 関連記事をもっと読む )
ファミリーマートとの統合で国内シェア7割、独禁法審査の懸念も
しかし、この買収戦の行方を決めるのは価格だけではない。セブン&アイは現在、日本国内で2万店以上のコンビニエンスストアを展開している。ファミリーマートを運営する伊藤忠商事との統合が実現すれば、日本のコンビニエンスストア市場の約7割を支配することになり、独占禁止法上の懸念が浮上している。一方、米国市場では、クーシュタードとの統合でもシェアは12.3%にとどまる。