11月16日、ペルー・リマで行われた米中首脳会談で、習近平国家主席は台湾問題、民主人権、政治体制、発展の権利を中国側の「4つのレッドライン(越えてはならない一線)」として示し、初めて賴清德総統の名前に言及。米国側に対し、賴清德氏と民進党当局の「台湾独立」志向の本質を見極め、台湾問題を極めて慎重に扱うよう求めた。
これに対しバイデン大統領は、台湾周辺での不安定化を招く軍事行動の停止を要請し、台湾海峡の平和と安定が世界の利益になると改めて強調した。
習近平氏が示した4つのレッドライン:台湾問題、民主人権、政治体制、発展の権利
中国中央テレビの報道によると、習近平氏は会談で「台湾独立」分裂活動と台湾海峡の平和安定は相容れないと強調。米国が台湾海峡の平和を望むなら、「賴清德」氏と民進党当局の「台湾独立」志向の本質を見極め、台湾問題を極めて慎重に扱い、「台湾独立」に明確に反対し、中国の平和統一を支持することが重要だと述べた。一つの中国原則と米中三つの共同声明は二国間関係の政治的基礎であり、厳守すべきとし、台湾問題、民主人権、政治体制、発展の権利は中国側の4つのレッドラインであり、挑戦は許されないと言明した。
中国側の発表によると、バイデン氏は習近平氏に「6つのノー」を表明。「新冷戦」を求めない、中国の体制変更を求めない、同盟関係強化による対中包囲を目指さない、台湾独立を支持しない、中国との衝突を望まない、台湾問題を対中競争に利用しないとした。また、一つの中国政策を継続する立場を改めて表明。政権移行期には中国との対話を強化し、相互理解を深め、意見の相違を責任を持って管理する意向を示した。
習近平氏はさらに米中関係について「4つの不変」を提示。中国側の米中関係の安定・健全・持続可能な発展という目標は変わらない、相互尊重・平和共存・協力とウィンウィンの原則は変わらない、主権・安全・発展利益を守る立場は変わらない、米中両国民の伝統的友好を継続する願いは変わらないとした。両首脳はAIの人類への貢献や核兵器使用の人的管理維持について国際協力を強化する必要性で一致した。
党政関係者:習氏は会談で言及せず、中国メディアが「賴清德」を追加
これについて台湾の党政関係者は、「米中首脳会談」の現場では、習近平氏は「賴清德」という名前を言及していなかったと指摘。新華社や中央テレビの報道が独自に「賴清德」や「民進党当局」という文言を追加したとしている。
リマでのAPEC期間中に行われた会談は、両首脳にとって最後の首脳会談となった。バイデン氏は両国の競争が公然たる衝突に発展することを避けることに重点を置く一方、習近平氏は米国大統領選後の情勢について厳しい警告を発し、賴清德氏のフルネームに言及することで「独立反対・統一推進」の立場を示した。
ホワイトハウスは首脳会談後の声明で、バイデン氏が会談中、中国に対して台湾周辺での不安定化を招く軍事行動の停止を要請したと発表。米国は現状の一方的な変更に反対し、台湾海峡の平和と安定が世界の利益になると改めて表明したとしている。バイデン氏は米国の一つの中国政策は変わらず、台湾関係法、三つの共同声明、六つの保証を指針とし、両岸の違いは平和的な方法で解決されることを期待すると強調した。
台湾専門家:北京は「賴清德政権」に幻想を抱かず
『ニューヨーク・タイムズ』は、バイデン氏と習近平氏が、その場にいない人物、すなわち次期大統領トランプ氏を意識して発言していたと報じている。トランプ氏は選挙期間中、2025年1月の就任後、対中政策をより強硬なものにすると誓約している。
上海東亜研究所の包承柯副所長は、今回の「米中首脳会談」で賴清德氏の台湾独立理念と思想を名指しで批判したことについて、「非常に厳しい発言」だとし、中国大陸側が「賴清德政権」に当初から幻想を抱いていないことを示していると指摘。その背景には、賴氏が520演説で「二国論」を強調したことがあり、中国は軍事、法制、経済などの手段で台湾独立勢力を牽制している。これほど短期間で、これほど明確な台湾独立反対の姿勢を示したのは前例がなく、今後も断固とした闘争を続ける意向を示しており、両岸関係の深刻さを物語っているとしている。
編集:佐野華美 (関連記事: 「台湾はフリーライダー」とワシントンの噂を暴露 トランプ政権1.0の国家安全保障補佐官:台湾は米国に誤った安全保障感を持っている | 関連記事をもっと読む )
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