蔡英文、”習近平・トランプ政権・ウクライナ”について言及:国際社会はまずウクライナを支援すべき

蔡英文氏はアメリカはウクライナ支援に全力を尽くすべきであり、台湾にはまだ時間があると表明した。(蔡英文氏Xより)
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前総統の蔡英文氏は23日、「マケイン公共サービス・リーダーシップ賞」受賞者として「ハリファックス国際安全保障フォーラム」で講演を行い、主催者と国際社会の長年の台湾支援に感謝を述べ、来年2月にフォーラムが台北で開催されることを発表した。蔡英文氏の演説は『Politico』や『ガーディアン』の注目を集めた。

ハリファックス国際安全保障フォーラムは2021年の時点で、当時総統だった蔡英文氏への「マケイン公共サービス・リーダーシップ賞」授与を発表していた。総統という立場とパンデミックの影響で、当時蔡英文氏は授賞式に直接出席できず、台湾の民主主義を認めたフォーラムに台湾国民を代表して感謝を述べるに留まった。故ジョン・マケイン共和党上院議員の息子でBlue Sky Vantageのジャック・マケインCEOが蔡英文氏を紹介し、会場の要人や参加者が総立ちで拍手を送る中、蔡英文氏は約20分間英語で講演した。

ジャック・マケイン氏は蔡英文氏について、高潔な人格を持つ指導者であり、台湾初の女性総統として内政・外交の分野で成果を上げたと称賛。特に独裁者が横暴な世界において、蔡英文氏は大きなプレッシャーに直面しながらも揺るぎない姿勢を貫き、民主主義精神の勇敢な化身となって独裁者の物語を覆した。ジャック・マケイン氏は、蔡英文氏は真のジョン・マケイン・スタイルを体現し、自己の利益を超えた事業のために奮闘し、抑圧の影の下で新世代の台湾人の自由の心を奮い立たせたと述べた。

民主主義国家の新たな課題

登壇した蔡英文氏は、まずジャック・マケイン氏の賛辞について「私のスピーチより素晴らしい」と謙遜し、故ジョン・マケイン氏の自由民主主義への揺るぎない信念に深い敬意を表明。そしてハリファックス国際安全保障フォーラムの15年にわたる貢献に感謝を述べ、民主主義国家に必要な議論の場を提供し、協力と支援の戦略を策定してきたことを評価。蔡英文氏は、世界秩序が重大な課題に直面しており、民主主義国家は急速に変化する世界情勢に適応しなければならないと指摘した。新型コロナウイルスのパンデミックは世界に根本的な変化をもたらし、深刻な経済後退を引き起こした。72カ国で選挙が行われる「スーパー選挙イヤー」も、民主主義国家に不確実性への対応を迫っている。 (関連記事: インタビュー》TSMCへのプレッシャーは避けられない? 許信良氏、4年後マスクがトランプに代わり大統領選出馬の可能性を指摘 関連記事をもっと読む

蔡英文氏は、対照的に独裁政権は非民主的であるがゆえに指導部の一貫性を保てると指摘。独裁政権は力をつけ自信を深めるにつれ、私利を追求して互いに結託し、国内政治にも影響を及ぼしている—これが現在の世界情勢だと述べた。民主主義国家は国際的に権威主義体制からの挑戦に直面し、国内ではインフレ、失業、経済の下振れなどの問題に直面している。国内問題が民主主義国家の関心の焦点であり続けているため、協力はより困難となっているが、かつてないほど重要にであると指摘した。