腫瘍外科手術の権威で、台湾中部で知られる肝臓・腎臓移植手術の名医、陳堯俐が告発された。複数回にわたり患者を中国本土での肝臓・腎臓移植手術に仲介し、2037万台湾ドルの利益を得ていた疑い。彰化地方検察署は人体臓器移植条例違反で起訴し、陳堯俐に対して禁錮6年、共犯者らに禁錮3年を求刑した。
彰化検察署の指摘によると、陳堯俐は2016年から6名の台湾人を中国山東省青島市の病院での臓器移植に違法に仲介し、さらに4名を湖南省長沙市の病院での肝臓と腎臓の移植に仲介した。
陳堯俐とその共犯者らは、患者に対して臓器提供費用、術後ケア医療費、中国人医師への報酬、宿泊交通費などとして、肝臓移植で500万から750万台湾ドル、腎臓移植で300万から350万台湾ドルを請求し、10名の患者から合計2037万台湾ドルの不正利益を得ていた。
手口は、陳堯俐が病院での診察時に臓器移植を必要とする患者を見つけると、バイオテクノロジー会社の黄姓責任者と連絡を取らせて費用を徴収。その後、製薬会社の楊姓責任者と臓器移植サービスを手がける林という女性が患者と現地医師との連絡を担当し、中国での手術を手配。台湾人の謝姓アシスタントが中国でケアを支援する仕組みだった。
検察は、陳堯俐一人の不正利益が1482万台湾ドルに達したことを突き止めた。捜査過程で270万台湾ドルのみ返還され、現在は裁判所に財産の差し押さえを申請している。また、陳堯俐は2008年にも違法な臓器移植で懲戒処分を受けていたにもかかわらず、反省の色が見られなかった。
被告らが医学倫理に重大な違反を犯し、臓器の無償提供という普遍的な基本原則と台湾の国際的イメージを損なったことを考慮し、人体臓器移植条例違反などの容疑で起訴。陳堯俐に対して禁錮6年、他4名の被告にそれぞれ禁錮3年の実刑を求刑し、不正利益の総額2037万台湾ドルの没収を求めている。
さらに悲しいことに、検察官の調査により、移植を受けた患者の多くが健康を回復することなく、大半が2、3年後に死亡していることが判明。臓器移植の失敗で帰国できずに死亡したケースや、帰国から1週間で亡くなったケースもあり、出所不明の臓器移植のリスクが極めて高いことが明らかになっている。
編集:佐野華美
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