トランプ2.0の対日「牙むき出し」を懸念 日本メディア:中国の「1資源」活用し利益の最大化を

米大統領候補トランプ氏は先日、中国製品に対する既存の関税に加え10%の追加関税を課し、メキシコとカナダの全製品に25%の関税を課すと発表。日本メディアはトランプ氏が日本にも「牙をむく」のではないかと懸念している。(資料写真、AP通信)

トランプ氏が間もなくホワイトハウスに復帰する中、その高関税政策により、グローバル化が大きく後退することが懸念されている。日本メディアは、トランプ新政権が中国に対してより厳しい制裁を課す際、日本や欧州にも牙をむく可能性を懸念している。そのため、日本メディアは、グローバル化の現実を直視できないトランプとは一線を画しつつ、米中両大国と等距離を保ち、米国のAIと中国の再生可能エネルギーの両方に目配りし、国益の最大化を図るべきだと述べた。

日本経済新聞は2日、小竹洋之評論員の記事を掲載し、「関税マン」トランプの高関税政策について「これは頭痛の種となる号砲である」と指摘。しかし小竹氏は、長い歴史を持つ世界のグローバル化が、これで終止符を打つことはないとみている。トランプがもたらす環境変化に適応するため、グローバル化の主役交代と重心移動がより顕著になる可能性がある。

記事は第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストの見解を引用し、「米欧日のサプライチェーン再編は、自由主義国家間の関係を深めながら、非自由主義国家との関係の『多様化』を保つ方向に近づいている」としている。その中で、「グローバルサウス」が輸出入国としての存在感を増し、米中対立の打撃を緩和する。

また、国士舘大学の助川成也教授が米アップル社のサプライヤーリストを詳細に調査したところ、部品調達の生産拠点は2017年の382カ所から2023年には470カ所に拡大し、最多の中国は157カ所を維持していることが判明した。中国の拠点は依然として不可欠であり、東南アジアなどの拠点を増やす形でサプライチェーンの多様化を実現した。

トランプ復帰による関税の影響を軽減する方法について、小竹氏は、すべての人が傍観しているわけではなく、日本の主要企業も様々な選択肢を検討していると述べている。例えば、早稲田大学の戸堂康之教授は、「関税の高い中国から他国への製造拠点の移転が強まる可能性がある。これは米国への生産拠点移転の促進にも寄与する。特に重要なのは、将来の巨大市場となるグローバルサウスへのサプライチェーン拡大に努め、人的ネットワークや情報蓄積などを含む波及効果の大きい直接投資に期待することである」と呼びかけている。

記事はさらに、米調査会社ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長が10月に東京で開かれた国際会議での発言を引用し、「ワシントンと北京の多くの人々が相互依存を懸念しているが、世界の大多数の人々はそれを望んでいる」とした。グローバルサウスは、二大強国と一定の距離を保ちながら国益の最大化を図り、米国のAIと中国の再生可能エネルギーの両方に目配りしている。

蘋果執行長庫克(Tim Cook)23日訪問北京會見中國工業和信息化部部長金壯龍,這是庫克2024年第2次訪問中國。(新華社)
中国発展ハイレベルフォーラム2024年次総会が3月24日から25日に北京で開催され、出席したアップルのティム・クックCEO(中央)は取材で「中国市場への投資を継続する」と述べた。(新華社)

小竹氏は、過激すぎる政策の修正をトランプに求めることを怠ってはならないが、トランプがそれによって主義を変えることは考えにくいと指摘。「そうであれば、日本も覚悟を決めて問題に対処するしかない。現在は高関税を避けるための交渉を維持しながら、強靭で効率的なサプライチェーンの構築を急ぐべきである。」と述べた。

小竹氏は、日本は環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)や東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)などの拡大・深化に積極的に取り組むべきだと提言。また、グローバル化の現実を直視できないトランプとは一線を画し、グローバルサウスや欧州と自由貿易圏のメリットを十分に共有すべきだと主張した。

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