仏シンクタンクと国防高等研究院が最近発表した年次調査で、仏国民の世界の4大戦争・紛争に対する各方面の主張への見解が明らかになった。報告によると、台湾の主張が最も高い支持を得、約8割の回答者が台湾の将来は台湾人民による自己決定であるべきとしている。一方、中国とロシアの主張は支持を得られていない。
仏デカルト財団(Fondation Descartes)と省庁間機関である国防高等研究院(IHEDN)は11月末、「虚偽情報:外国のナラティブがフランスにどう浸透しているか」と題する103ページの年次研究報告書を公表した。
報告書の著者であるデカルト財団研究主任のローラン・コルドニエ氏は、国際紛争において、各利害関係者が自らの行動を正当化するためにナラティブを体系的に展開していると指摘。情報操作のメカニズムは理解されているものの、その影響についてはほとんど知られていないと述べている。
この前例のない研究は、今年8月に4000人のフランス人を対象に、現在の4大戦争・紛争に関するナラティブについての見解を調査:ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス紛争、フランスの軍事行動によるマリ軍事政権との対立、そして中国・台湾危機を取り上げている。調査では、コルドニエ氏が紛争・戦争の双方からそれぞれ3つの主要な主張を引用し、回答者のそれぞれの主張に対する支持度を調査。その後、それらを相互に、また回答者の背景と照らし合わせて相関関係を研究。台湾海峡危機については、「台湾は事実上、中国本土と分離した独自の制度を持つ国家である。しかし中国は台湾を自国の一省とみなし、武力による主権主張も排除していない」と説明している。
調査では中国側の3つの主張を以下のように設定:
1. 米国など西側諸国は台湾政府支持を通じ、違法に中国の内政に介入している
2. 台湾は歴史的に中国に属し、中国領土の一部である
3. 中国政府のみが台湾の将来を決定する権利を有する
結果は以下の通り:
- 第1の主張:完全に同意・ほぼ同意が28.4%、完全に不同意・あまり同意しないが46.7%
- 第2の主張:同意20.3%、不同意48.4%
- 第3の主張:同意11%、不同意72.2%
一方、台湾側の主張は:
1. 台湾の将来は中国政府ではなく、台湾人民が自由かつ民主的に決定すべき
2. 民主主義体制である台湾が中国に対して自主性を保つことは、アジアと世界の民主主義的価値の防衛に重要
3. 台湾は中国共産党の統治を受けたことがなく、中国のいう「回帰」は実際には武力による統一である
台湾側の主張への支持は極めて高く:
- 第1の主張:同意79.5%、不同意6.2%
- 第2の主張:同意72.9%、不同意7.7%
- 第3の主張:同意69%、不同意8.3%
8カ国のイメージ・情報源は?
フランスを除くと、台湾が最も良いイメージを持たれており、ポジティブなイメージを持つ人が57.7%、ネガティブなイメージは14.5%となっている。ウクライナがそれに続いている。
最も悪いイメージの国はロシアで、次いでマリ。中国は下から3番目で、ポジティブなイメージを持つ人は19.8%、ネガティブなイメージは64.3%となっている。 (関連記事: 最新の政党支持率発表!国民党が好感度首位 世論調査で民進党に打撃、否定的評価が20万件超 | 関連記事をもっと読む )
年齢層による傾向も明らかになっている。65歳以上の回答者は、ウクライナ、イスラエル、フランス、台湾の主張をより支持し、ロシア、ハマス、マリ、中国の主張には否定的である。18~49歳の層ではこれが逆転する傾向が見られる。