「国連決議2758は台湾問題と無関係」は誤り?  米国の対台湾政策の揺れを専門家が指摘

「国連総会決議2758号は台湾に関係しない」という主張は、一見正しいようで実は違う命題だ。当時扱われていたのは中国の代表権問題であり、台湾問題ではなかった。写真は決議2758号が可決された後、喜びに沸く北京代表団の様子。(人民網より)
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1971年に決議された国連総会決議2758号。そして「国連総会決議2758は台湾に関係しない」という主張は、今日、米中両岸の政治的駆け引きの新たな戦場となっている。スタンフォード大学フーバー研究所研究員兼アーカイブ東アジア部門主任の林孝庭氏が『風傳媒』のインタビューで、これは一見正しそうで実は違う命題だと指摘。当時扱われていたのは中国代表権の問題であり、台湾問題ではなかった。決議2758が今日論争となっているのは、「台湾地位未定論」と同様に、米国政府が自身の利益に応じて活用する政治的駒となっているためだという。

林孝庭氏の見解では、「国連決議2758は台湾に関係しない」という主張は、表面的には正しそうに見えるが実際は違う。1971年秋の歴史的場面に立ち返ると、この決議案で扱われていたのは「誰が中国を代表するか」という問題であり、台湾の地位や台湾人民が国連で十分に代表されているかどうかという問題ではなかった。この決議案が議論された当時、海峡両岸の国民党と共産党政権は「一つの中国」原則および「台湾は中国の一部」という立場で争いがなかった。両岸がともに自らが全中国を代表すると主張し、台湾が中国の一部であると認識していた以上、国連加盟国代表が台北か北京のどちらが中国を代表すべきかを投票する際、当然台湾問題を扱うことはなかった。

決議2758と台湾地位未定論の利用は米国の利益変動に応じて

「現在の政治的文脈で、半世紀前の国連決議が台湾問題を扱っていない、あるいは言及していないと非難することはできない」と林氏は指摘。1990年代に李登輝が国連復帰運動を推進した際も、決議2758を再検討するのではなく、「加盟の普遍性」原則が台湾にも適用されるべきだと訴えた。林氏はさらに、国際法に関する問題は、純粋に法的観点からだけでは見られず、政治的・外交的な駆け引きがより重要だと強調する。決議2758と同様に「台湾地位未定論」についても、1949年の両岸分断以降、定期的にこの問題が取り上げられてきた理由は単純で、米国政府が自国の利益に適うと判断した時に持ち出し、利益にならない時は放置してきたという。

林氏は例を挙げて説明する。国共内戦末期に国民党が危機に瀕していた時、米国は「台湾地位未定論」を常に議論し、国連による住民投票実施や東京の連合軍総司令部による統治などを検討。しかし朝鮮戦争が勃発し、米国が中国共産党を牽制するために台湾の中華民国政府を必要とした時は、この論点には触れないか、最小限の言及に留めた。その20年後の1970年代初頭、米国が世界戦略を変更し、北京との和解を準備する段階になると、ワシントンは再び「台湾地位未定論」を持ち出し、姿勢表明や交渉の材料として利用した。 (関連記事: 最新の政党支持率発表!国民党が好感度首位 世論調査で民進党に打撃、否定的評価が20万件超 関連記事をもっと読む

「国連決議にせよ台湾地位未定論にせよ、純粋な法的問題だけではなく、必ず他の政治的考慮が背後にある」と林氏は述べる。今日、米国が両岸に対して新たな戦略的思考や見解を持つようになった時、古い議題を再び取り上げて運用の余地を探ることは、容易に理解できるという。