社説:米国の第一列島線後退で、台湾の両岸関係の苦境が露呈?

2024-12-22 22:03
メディアの報道によると、日本の防衛大臣中谷元氏は14日、沖縄県に駐留する米海兵隊員がグアムへの移転を開始したと発表し「今回が海兵隊員の海外移転の第一陣で、今後段階的に進めていく」と述べた。(資料写真、AP通信)
メディアの報道によると、日本の防衛大臣中谷元氏は14日、沖縄県に駐留する米海兵隊員がグアムへの移転を開始したと発表し「今回が海兵隊員の海外移転の第一陣で、今後段階的に進めていく」と述べた。(資料写真、AP通信)
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先日、国家安全保障関係者が「解放軍が言及を避けている軍事演習」と形容した演習について、国防部はその海軍戦力が「非常に驚くべき数」であり、その配置が「第一列島線と第二列島線の間」に達していると強調している。中国側が公式に確認していないため、この軍事演習の実態は依然として把握が困難である。しかし、我々側の説明と情報から見ると、冷戦期から残る太平洋の「島嶼線」の認識は、与野党を問わず、執政党の心に深く刻まれている。

在沖縄米軍が移転開始、第一列島線の防衛線に空白

賴清德総統は友好国訪問中の12月5日、グアム経由の際に、グアムを台湾の隣に「移動」させ、「グアムと台湾はともにインド太平洋第一列島線に位置し、権威主義の脅威に共同で直面しており、より緊密に団結すべきだ」と述べた。明らかに賴総統とそのスタッフ、国家安全保障チームは「第一列島線」への執着が深い。520就任演説でも、賴総統は台湾が「第一列島線」に位置する戦略的位置を強調している。これらは、現在の民進党政府の地政学的な自己イメージと位置づけが、米国のインド太平洋(かつての極東)地域における中国の封じ込め・封鎖の「第一列島線」のメンバーとして自任し、誇りとしていることを示している。

別の視点から考えると、民進党政府の台湾の安全保障戦略は、おそらく米国の「第一列島線」軍事防衛線に高度に依存し、それを対中国・台湾防衛路線の最大の支柱としている。しかし、この「第一列島線」防衛線に最近、空白が生じている。NHKの報道によると、沖縄に駐留する米海兵隊は、グアムへの移転を開始している。この部隊移転計画は、約9,000名の米海兵隊員を沖縄からグアムとハワイに再配置するものである。

沖繩縣民參加集會,要求美軍基地全面退出沖繩。(資料照,取自美聯社)
2016年6月19日、6万人以上の沖縄県民が集会に参加し、米軍基地の沖縄からの完全撤退を要求した。(AP通信)

実際、在沖縄米軍は常に地元住民にとって最大の悪夢となっている。沖縄県警の統計によると、1972年から2021年までの間、在沖縄米軍および関係者による刑事事件は6,100件余りに達し、そのうち殺人、強盗、放火、強姦などの凶悪事件は約600件で、700人余りが関与している。さらに、在沖縄米軍および関係者による交通事故で累計約4,900人が死傷している。沖縄県民は集会を重ね、米軍の犯罪行為に抗議し、米軍とその基地の撤退を求めた。

2006年の在日米軍再編最終報告では、当初2014年までに米海兵隊の移転を完了する計画だった。その後、度重なる延期を経て2024年7月の日米外交・防衛「2+2会談」でようやく年内移転開始の取り決めが確認された。台湾の軍事専門家は、米軍基地が存続したとしても、軍隊が一旦撤退すれば、すべてが変化するだろうと解釈している。これが地政学的な基礎であり、米国の国力が支えられない状況下で、米国は最終的に余儀なく沖縄米軍の移転を行うことになったとしている。 (関連記事: トランプ氏と安倍昭恵氏が会談、台湾海峽情勢を協議 「中国と台湾は大きな問題」と語る 関連記事をもっと読む

中米の西太平洋軍事力のシフト、日韓親米政権の変化

米国の第一列島線からの戦略的撤退の表象には、いくつかの重要な軍事的指標が隠されている。まず、解放軍の「3空母」時代の到来であり、常時1隻を港での整備、1隻を南シナ海での訓練、もう1隻を第一列島線外縁での常態的配備が可能となっている。米国が当初第一列島線を「遠征前進基地」として武装し、沿線の島々に機動的な防空ミサイルと対艦ミサイルを配備して密集した火力網を形成しようとした構想は、中国海軍に「防衛を突破」されたと言える。

9月25日8時44分,解放軍火箭軍向太平洋相關公海海域,成功發射1枚攜載訓練模擬彈頭的洲際彈道飛彈,精準落入預定海域。(中國軍號)
9月25日午前8時44分、中国人民解放軍ロケット軍が太平洋の公海上で、訓練用模擬弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルの発射に成功。(中国軍号WeChat公式アカウントより)
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