先週、中国軍が台湾周辺および東シナ海、南シナ海で実施した大規模演習が注目を集めている。中国の演習に対する曖昧な態度も多くの人々を困惑させており、英フィナンシャル・タイムズは日本側の見解を引用し、これが解放軍による台湾への軍事的威嚇の「新常態」となる可能性があると指摘。しかし、米国防総省長官室の元中国部長であるボスコ氏は、北京が威嚇しようとしている対象は主に台湾や日本、フィリピンではなく、まもなく就任する米国の次期大統領トランプ氏だと指摘している。
先週実施された西太平洋での演習は1996年の台湾海峡危機以来、最大規模とされる。当初、台湾側は頼清徳総統の南太平洋訪問と米国通過後の対抗措置とみていたが、中国側は演習を公表せず、その意図をめぐって様々な観測が出ている。
米国防総省で中国部長を務めたジョー・ボスコ氏は「演習の真の目的はトランプ氏への牽制だ」と指摘。中国側は「習近平氏は素晴らしい指導者」「台湾は米国のチップビジネスを奪った」といったトランプ氏の発言を引き出し、台湾と距離を置かせる狙いがあるとの分析を示した。
一方、米政府高官は英フィナンシャル・タイムズに対し、頼総統の訪米が「抑制的」だったため、中国側も過度な反応を控えた可能性を指摘。政権移行期の混乱回避や、解放軍将領への反腐敗調査との関連性も示唆している。
中国国防部の呉謙報道官は「演習実施の有無や時期は、情勢に応じて自主的に判断する」と述べるにとどめており、専門家からは「公表・非公表を使い分けることで、相手側の混乱を誘う戦略の可能性もある」との指摘が出ている。
トランプ氏は習近平国家主席を大統領就任式に招待する意向を示しているが、ボスコ氏は「台湾問題での譲歩と引き換えに応じる可能性もある」と分析している。
編集:佐野華美 (関連記事: ロシア・ウクライナ戦争》和平交渉は不可能?研究機関が公開する4つのシナリオ 最悪の予測:難民100万人が欧州へ | 関連記事をもっと読む )
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