伊藤忠の台北101株式売却の理由が明らかに 取引成立の鍵はここにある

2024-12-23 21:53
台北101の最大単独株主である日本の伊藤忠商事が保有株式の一部売却を検討している中、市場の注目が集まっている。(陳怡慈撮影)
目次

郭国文立法委員は本日(23日)午前、立法院財政委員会で、日本の伊藤忠商事が台北101の株式売却を検討しており、中信金控グループがそのうちの5%の取得に関心を示していることについて質問を行った。事情に詳しい関係者によると、伊藤忠が株式売却を望む背景には3つの理由があり、この案件の成立は価格がカギとなっているものの、現時点では不確定要素が多いとしている。

台北101の最大単独株主は当初、頂新グループであった。同グループが食用油スキャンダルで問題を起こした後、2018年に約6.65億米ドル(当時のレートで約202億台湾ドル)で保有する約37.17%の株式を日本の伊藤忠商事に売却。これは伊藤忠グループの2社で保有しており、台湾伊藤忠投資が約32.15%、西松台湾投資が約5.03%を保有している。

台北101は好収益、配当利回りは5~9%の間

財政部と金管会が本日財政委員会に提出した書面報告によると、台北101の今年1-11月の自己集計による営業収入は54.37億台湾ドルで、前年同期比7.43%増加した。今年の通年営業収入は60億台湾ドルを突破する見込みで、予算達成は予想を上回っている。収益面では、今年1-11月の税引後純利益は22億台湾ドル超で、累計の1株当たり税引後純利益(EPS)は1.54台湾ドルと好調で、来年の税引後純利益は今年比で約4%の成長が見込まれている。

事情に詳しい関係者によると、台北101は過去10年間、毎年の利益から株主に現金配当を実施しており、帳簿価額1株15台湾ドルで計算すると、配当利回りは新型コロナウイルスのパンデミック期間中が最も低く年約5%、その他の年は概ね8~9%となっており、「かなり良好な投資対象」とされている。では、なぜ日本の伊藤忠商事は株式を売却しようとしているのか。その背景には3つの理由があるという。

第一に、日本の経済状況が芳しくなく、伊藤忠商事の経営圧力が小さくないため、海外保有株式を売却して本国での事業運営に必要な資金に充てたいとしている。「不採算投資は売却しても資金を得られないが、収益性の高い投資なら利益確定の機会がある」というのが売却の第一の理由である。

第二に、日本の伊藤忠商事の台北101株式は2社で合計約37.17%を保有しているが、そのうち台湾伊藤忠投資の持株比率約32.15%については、日本の会計基準により持分法で連結財務諸表に計上する必要があり、開示事項が多くなっている。持株比率が20%未満になれば財務投資として扱われ、開示事項は少なくなる。

つまり、伊藤忠は今回、37.17%または32.15%の全株を売却するのではなく、台湾伊藤忠投資の32.15%を20%未満に引き下げたい、すなわち10数%程度の株式を売却したいということである。 (関連記事: 《閻学通氏分析》中国は今後4年間、経済回復を優先  台湾統一の具体的な予定は立てず 関連記事をもっと読む

第三に、伊藤忠が頂新グループから台北101株式を取得した当時、円ドル為替レートは1ドル約111円であったが、6年余りで1ドル156.6円前後まで円安が進み、下落幅は29%超となっている。伊藤忠にとっては、当時の台北101株式の購入価格で「原価」売却したとしても、為替差益だけでもかなりの額になる。

最新ニュース
《閻学通氏分析》中国は今後4年間、経済回復を優先  台湾統一の具体的な予定は立てず
台湾鉄道 公社化初年度で120億赤字 弁当収入は過去最高に
安倍昭恵氏、「李登輝之友会」で講演:日本人は台湾という国を大切にすべきである
台北101・最大単一株主の伊藤忠が株式売却か? 日本へ急遽訪問し対応へ
社説:米国の第一列島線後退で、台湾の両岸関係の苦境が露呈?
台湾政界の郭正亮氏、中国で先祖祭祀 血縁は「両岸の絆」と強調
トランプ氏と安倍昭恵氏が会談、台湾海峽情勢を協議 「中国と台湾は大きな問題」と語る
日本での生活から見た日台芸能界の違い 陳榕姍が貫く女優としての道のり
「離島」から広がる新たな日台交流 何欣潔氏が離島を台湾から世界への窓口に
NVIDIAチップ、なぜ中国に流入? 著名アナリストが指摘する重要ポイント・半導体産業の2つの焦点とは
台日両方が故郷!ハーフモデルのSarraが台湾観光大使を目指す 原動力は祖父の一言
豪州人留学生がネズミ駆除剤で中毒 女性知人を殺人未遂罪で起訴、元夫も中毒死の疑い浮上
チベット、台湾に支援要請 亡命政府:中国の脅威に直面…「同じ船に乗る者として」
舞台裏》台湾議会動乱に注目:民進党が夜襲作戦 市民デモ中に議場占拠へ!
柯文哲、拘置所内で民衆党党首を辞任声明へ!台北地方裁判所が本日承認。
市民団体が国会前でデモ 野党推進「選挙・罷免法」を含む3つの法案改正に抗議
日台ETFのクロスリスティングが実現へ 金融監督管理委員会:来年第3四半期に第一号商品が登場
台日経済貿易会議が東京で開催 蘇嘉全:重要議題で実質的進展を達成
舞台裏》重要人事異動!行政院長の要請で頼清徳総統が「国家安全保障と内政を繋げる重要人事」を決定
台湾海峡へは侵攻させない! 米国から警告:中国軍2027年に現代化完了へ
日産・ホンダ・三菱の合併:鴻海による株式取得が『重要な推進力』に?
中国軍演、トランプ氏へ警告か 。専門家「台湾と距離置くよう圧力」
ロシア・ウクライナ戦争》和平交渉は不可能?研究機関が公開する4つのシナリオ 最悪の予測:難民100万人が欧州へ
米、台湾を利用し対中『新冷戦』を仕掛ける 英・著名学者がこの国の敗北を予言!
民進党が『労働者が大切』と言っていた救済資金、私的流用が次々発覚
孫正義氏がトランプ氏と共に登壇! ソフトバンク、今後4年間で米国に1000億ドル投資を約束
【舞台裏】中国軍、正体不明の大規模軍事行動 ― 台湾包囲の新戦略か
《独占》台湾警察が新たな特殊部隊を設立、精鋭24名が訓練修了 インフラ防衛の切り札に!
安倍昭恵氏がトランプ氏と面会、石破首相は未だ実現せず 米側が親中路線に牽制か
《中国軍事演習》予告なしの大規模展開が“新常態”に、台湾と米国は新たな課題に直面―FT紙報道
馬前総統の親中姿勢:両岸政策、民意と乖離で国民党が支持失う
香港自治、国安法施行後「衰退が顕著」 日本人学者が指摘:統治システムの再構築が明らかに加速
台北・上海交流に制限強化 専門家「民進党の対中姿勢への影響を懸念」
国際宇宙ステーション日本人船長の若田光一氏:「宇宙で臭豆腐を食べるのが夢」
韓国・尹大統領ついに国会で弾劾可決:「正義の化身」から「民主主義の罪人」へ転落、今後いかに
仏 世論調査、「台湾の未来は台湾人民が決めるべき」が8割の支持
台湾No.1の人気寺院が判明! 年間863万人が参拝する北港朝天宮の魅力とは
最新の政党支持率発表!国民党が好感度首位 世論調査で民進党に打撃、否定的評価が20万件超
中国製「注射器おもちゃ」が台湾で流通! 当局が健康被害を警告:重金属汚染やがんのリスクも
2025年世界大学持続可能性ランキング 発表!台湾2大学がトップ200ランクイン、就職力で際立つ成果
懐かしの名品「アップルサイダー」が奇跡の復活! 負債完済で老舗メーカーが本格再始動
台北の古民家「文房」は旧台拓幹部の邸宅と判明 文化財価値が向上
“手当こそTSMCの強み”熊本工場の先輩が海外赴任手当を公開 航空券、住宅手当など全て完備!
尼僧3人が共産党批判の動画公開! 「民衆を愚弄」と激しく非難、当局が削除強要