中国、台湾封鎖は沖縄も標的? 専門家が軍事的意図を分析:海警・軍艦が法執行の境界線を曖昧に

読売新聞は1月1日の一面で、中国による宮古海峡での封鎖演習を報じた。(読者提供)
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日本政府は先週、2025年度の防衛予算として過去最高の8兆円を承認し、現在の安全保障環境は第二次世界大戦以降で最も厳しい状況にあると述べた。日本のメディアは、昨年末に中国が海警船6隻と軍艦を台湾海峡と沖縄周辺で合同演習を実施したと報道。これは中国の台湾包囲演習による海上封鎖範囲が日本にまで及んでおり、「台湾有事」の際には中国が宮古海峡を封鎖する可能性を示唆している

共同通信の報道によると、海上保安庁の巡視船は昨年12月30日、尖閣諸島周辺の日本領海外側の接続水域で中国海警局の船舶4隻の航行を確認。これで42日連続で中国公務船が確認され、2024年には計354日となり、2012年の尖閣諸島国有化以降で最多を記録した。

中國海警船
2024年4月27日、尖閣諸島付近の海域を巡航する中国海警船。(新華社)

中国側6隻艦船が反時計回りに台湾・日本先島諸島を包囲

読売新聞は1月1日、複数の情報筋を引用し、昨年12月22日、中国が「江凱II級」(054A型)フリゲート艦、「江凱I級」フリゲート艦1隻、および「海警2901」を含む海警船3隻の計6隻を派遣し、台湾海域での活動だけでなく、宮古海峡に沿って太平洋側から東シナ海まで航行したと報た。3隻のフリゲート艦はバシー海峡を通過後、台湾東部沖から北上して海警船と合流し、共に西から宮古海峡を通過して東シナ海へ向かい、反時計回りに台湾と日本の先島諸島を包囲。

読売新聞は「船舶自動識別システム」(AIS)のデータから、中国海警と1隻の軍艦が宮古海峡を共同航行し、尖閣諸島周辺でAISを同時に停止したことを確認。これは海警船が軍事演習作戦行動に参加していることを隠蔽するためとみられる。「海警2901」は1万トンで、世界最大級の海上法執行船の一つで、76ミリ口径の艦砲を装備している。

報道ではさらに、昨年12月6日、中国が初めて76ミリ艦砲を搭載した海警船4隻を尖閣諸島周辺海域の接続区域に派遣。12月9日から11日には、中国側が台湾周辺に約90隻の軍艦と海警船を派遣し、第一列島線の封鎖をシミュレーションした。

国策研究院上級顧問・開南大学国家・地域発展研究センター所長の陳文甲氏は風傳媒のインタビューで、中国の尖閣諸島周辺海域での活動は、海警船と軍艦の派遣を含め非対称戦略・戦術を利用して日本の対応能力を試験していることを示していると指摘。これは軍事行動によって海上保安庁と自衛隊の対応戦略を評価し、頻繁な軍事プレゼンスを通じて中国の主権主張を強調しようとするものだと述べた。また、海警船と軍艦の合同行動は、軍事と法執行活動の境界線を曖昧にし、日本の判断と対応を困難にする意図がある。 (関連記事: 台湾市場に影響は?日産はなぜホンダの救済が必要? 販売・収益急落の「2つの要因」、日産・ホンダ統合後の展望 関連記事をもっと読む

読売新聞の報道で指摘された中国の非対称優位性による日本の反応テストについて、国防院国家安全研究所副研究員の王尊彥氏は同意しなかった。風傳媒のインタビューで彼は、「3隻の護衛艦と3隻の海警船」という編成から見ると、中国が非対称優位性を採用しているとは言えず、日本も護衛艦と海上保安庁の巡視船を持っていると分析。中国が1万トン級の海警船2901を派遣したことについては、むしろ「私の海警船はあなたの海保船より大きい」ということを意図的に示そうとする、つまり「同類比較」における「対称的優位性」を示すものだとしている。もちろん、艦船が大きいことが必ずしも「優位性」を意味するわけではない。実際に76ミリ艦砲を搭載した海警船が軍事作戦を行う場合、日本のどの部隊のどのような艦艇と対峙するかにもよる。