論評:志願兵が逃げ出す今、「台湾は勇敢」はどこにあるか?

立法院予算センターの報告によると、軍の主力となる志願兵人員が深刻な警告レベルに達し、「志願」が「不本意」へ。違約金を払って退役する人数が増加。(撮影:蘇仲泓)
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頼清徳総統は新年演説で「台湾は勇敢」と高らかに宣言したが、立法院予算センターの報告によって真っ向から否定された。軍の主力となる志願兵人員が深刻な警告レベルに達し、現役人数はわずか15万人と近年最低を記録。民進党政権下で「志願」は「不本意」に変わり、違約金を払ってでも退役する人数が日増しに増加している。長年の努力と巨額の資金を投じて米国からM1A2T主力戦車108両を購入し、順次配備されているにもかかわらず、適切な資質と年齢を持つ将兵が見つからず操作できない可能性が高い。台湾海峡の情勢が荒れる中、「台湾は勇敢」というスローガンは、自画自賛の虚勢を張った統治スローガンに過ぎないことが各界に見透かされている。

戦力危機に国防部は生ぬるい対応

民進党政権は米国の圧力の下、蔡英文総統は2022年末に1年間の義務兵役制度の復活を宣言した。軍の主力部隊となる志願兵について、立法院予算センターの統計によると2024年6月末時点で15万人まで減少し、2018年以来の最低水準となった。「違約金を払って退役」する下士官・志願兵が急増し過去4年で4倍に増加、1年で1旅団規模の人員が離れている。軍の主力部隊の志願兵の4人に1人が不適格となっている。

軍の編成比率は年々低下する顕著な傾向があり、戦力は危機的状況に。2025年の軍の「予算定員」では、基層下士官・上等兵・一等兵が減少し、将校・上級下士官・二等兵が増加。これは軍組織が「頭でっかち」「将校はいるが兵士がいない」という歪な現象を示しており、基層幹部の人員不足が作戦能力に影響を与え、部隊の士気を著しく損なっている。

陸軍CM11戰車翻覆失事意外,造成3死。(陸軍提供)
陸軍CM11戦車の横転事故現場。(陸軍提供)

国防部はこれに対して二つの理由を挙げて回答。一つは少子化傾向の加速、もう一つは民間企業の高給での人材募集である。部隊自身の責任を完全に回避し、与党の「中国に対抗し台湾を守る」というスローガンが引き起こした台湾海峡の緊張情勢については、一言も触れていない。

決戦場の浜辺で、義務兵は傍観者でいいのか?

まず、「少子化現象」は台湾だけの問題ではなく中国・日本・韓国・欧米など世界中の国々が直面している普遍的な傾向であり、各国が懸命に対策を講じている。問題は、政府高官たちが少子化の波の中で兵力が逼迫している状況にもかかわらず、積極的に台湾海峡の緊張を高めていることにある。その結果、兵役適齢者が「志願」しないだけでなく、親たちも子供を入隊させたがらず、戦場の砲肉にさせたくないと考えている。 (関連記事: 「両岸関係に過度な期待はすべきではない」元外務大臣官房長 垂秀夫氏、台湾との親交・駐台経験を語る 関連記事をもっと読む

次に、「民間企業の高給」での人材募集について、民間企業の給与水準は本当に良くなっているのだろうか?国民の給与上昇率は一般的にインフレ率に追いついていない。民進党政府は「護国の聖山」TSMCを熱狂的に支持し、その立地を狂騒的に煽るばかりで、大多数の国民がTSMCとは無関係のサービス業に従事しているにもかかわらず、国民生活に関わる観光産業を観光惨業に陥らせている。例えば、パンデミック前の2019年に中国本土からの観光客は約300万人であったが、2024年には国際観光客1000万人の目標の4分の3しか達成できず、観光収支の赤字は7000億台湾ドルを超え春節の宿泊予約率が過去最低を記録している。特にインフレが給与上昇分を相殺し、台湾国民は苦しみの声を上げている。

賴清德
頼清徳総統は選挙前、「義務兵は戦場に行かない」と声高に叫び、海岸防衛だけを担当すると主張。しかし就任以来、この問題について沈黙を保っている。(撮影:顏麟宇)
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