2022年に設立された日本の半導体メーカーRapidusは、2nmチップの量産を目標に掲げており、最近2025年4月に試作を開始するとの情報が注目を集めている。これについて、台湾科技力シンクタンクのCEO烏凌翔氏は、2つのサプライチェーン上の理由から、RapidusはTSMCの競合となり、TSMCは今からRapidusが敵か味方かを見極める必要があると指摘。
烏凌翔氏はインターネット番組『烏鴉笑笑』で、Rapidusが確実にTSMCの競合になると断言した。その理由として、日本政府から民間まで強い決意を持っていることに加え、2つのサプライチェーン上の要因を挙げた。第一に、日本は90年代にメモリチップの製造から撤退し、ロジックチップの製造にも参入しなかったものの、チップ製造の装置と材料の生産能力は保持し続け、現在も世界の半導体サブセクターでリーダー的地位を維持している。日本が半導体製造で世界のトップに返り咲こうとする場合、後方支援はすでに整っているという。
烏凌翔氏は続けて、第二の理由として、TSMCの先端プロセスチップの世界シェアが突出していることを挙げた。ファウンドリー事業だけで約70%近くを占めており、顧客は世界唯一のサプライヤーに対して価格交渉の余地がなく、供給の安定性も常に懸念している。TSMCの顧客だけでなく、先端チップを大量に必要とする国々も、TSMCだけが需要を満たせる状況を望んでいない。米国商務長官のジーナ・レイモンドも、この点について度々公に不満を表明している。
烏凌翔氏は、台湾の地政学的な摩擦が、間接的に日本の半導体産業復興を後押ししていると述べた。TSMCは今からRapidusが敵か味方かを見極める必要があると指摘している。さらに烏凌翔氏は、最近、米国IBMと日本の半導体業界の報道から、彼らがTSMCを仮想敵として捉えていることが分かったと述べた。もしRapidusの進展が順調であれば、量産技術の確立にさらに1年から1年半ほどかかるが、歩留まりが十分に良く、顧客の支持を得られれば、2027年には量産を開始できる可能性があるという。
編集:佐野華美 (関連記事: TSMC危機か?日本Rapidus社が巨額補助金で追い上げ 勝負の行方は“様子見程度”か | 関連記事をもっと読む )
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