2020年以来5年ぶり、残る死刑確定者は36人に
台湾の法務省は16日夜、2013年に元恋人とその母親を殺害したとして死刑が確定していた黄麟凱死刑囚(死刑確定時、台湾の死刑囚37人中最年少)の刑を執行したと発表した。台湾での死刑執行は2020年4月1日以来、約5年ぶりとなる。また、賴清德政権下での初めての死刑執行となった。
計画的な残虐な犯行、最高裁は「人性を失った」と判断
最高裁判所の判決によると、黄死刑囚は元恋人との金銭トラブルを理由に殺害を計画。ボーイスカウトロープを準備し、元恋人宅に侵入。その際、居合わせた母親の存在が計画の支障になると判断し、ロープで絞殺。その後も元恋人宅に潜伏し、帰宅した元恋人を強姦した後、同じロープで絞殺したという。
最高裁は判決文で「極めて計画的で残虐な犯行であり、一人目を殺害した後も罪悪感を持つことなく計画を遂行し、被害者を性的に暴行した上で殺害するなど、人性を完全に失った極めて悪質な犯罪である」と指摘していた。
憲法裁判断後の初の死刑執行
法務省の黄謀信次長は記者会見で、2024年9月20日の憲法裁判所による判断(113憲判8)で死刑制度は合憲とされたものの、「最も重大な犯罪」に適用を限定する方針が示されたと説明。黄死刑囚の事例は、複数の被害者を出した計画的な殺人であり、この基準に該当すると判断したとした。
法務省は、最高検察庁からの執行上申を受け、特別救済手続きの申し立てがないことや、死刑執行規則などの要件を満たしていることを確認。「死刑執行審議小組」による詳細な検討を経て、鄭銘謙法務部長が16日午後に執行命令を出した。
執行は同日夜10時2分、台北監獄の刑場で行われ、10時23分に死亡が確認された。黄死刑囚の死刑執行により、台湾の死刑確定者は36人となった。
なお、50の死刑存置派団体は今回の執行を評価する声明を発表している。
(関連記事:
論評:「死刑執行猶予」を宣告された台湾の民主主義?
|
関連記事をもっと読む
)