独立琉球国は解放軍の観光地となるか? 英メディア:台湾有事に備え北京が沖縄で「静かなる侵攻」

2024年4月3日、東京の街頭テレビで沖縄の津波警報と台湾地震の速報ニュースが放送される。(AP通信)

英国「デイリー・テレグラフ」紙は25日、中国が日本への浸透を続けており、特に沖縄独立運動を扇動し台湾侵攻の準備を進めていると報じた。

同紙によると、台湾から750キロ未満の距離にある沖縄諸島には3万人の米軍が駐留。北京が台湾侵攻を決断した場合、沖縄は戦略的に極めて重要な位置を占めるとされる。現在、北京は宣伝活動や外交接触を通じ、日本最南端の沖縄県で「静かなる侵攻」を展開している。

日本民眾19日在東京的國會議事堂前,對駐日美軍的惡行表示抗議。(美聯社)
東京の国会議事堂前で、日本の市民が在日米軍の不祥事に対する抗議デモを実施。(AP通信)

専門家は同紙に対し、北京は米軍の介入により台湾侵攻時の北側で大きな脅威に直面することを認識していると指摘。これを排除するため、1879年の琉球王国併合の歴史的怨恨を宣伝し、日本最貧県という沖縄の経済実態を強調して、住民と国との間に不和の種を蒔いているという。

中国の公式メディアは、在沖米軍の犯罪を報じる機会を逃さず、日本の国土面積の0.6%に過ぎない沖縄に米軍基地の70%が集中している事実を強調。住民と「よそ者」である米軍との距離を広げようとしている。

同時に、中国当局は在沖華人との接触を図り、他国同様に地下警察局を設置。これらの取り組みが必ずしも具体的な成果を上げているわけではないが、中国のSNSでは沖縄住民の大多数が独立に賛成していると主張。大連海事大学は「琉球研究センター」を設立し、同諸島への中国の国際的主張を強化すべきだと強調している。

6萬多名沖繩縣民19日參加集會,抗議駐日美軍惡行。(美聯社)
沖縄県民6万人以上が集会に参加し、在日米軍の不祥事に抗議。(AP通信)

また中国は沖縄への外交攻勢も展開。福建省委書記の周祖翼氏・駐日大使の呉江浩氏・駐福岡総領事の楊慶東氏が昨年沖縄を訪問。楊氏は半年で2度訪問している。同紙は、3人の中で最も地位が低い楊氏が、南シナ海の環礁・島嶼管理を担当する海南省三沙市副市長を務めた経歴から、特に注目に値すると指摘している。

証明されていないものの、多くの日本人は中国が沖縄独立運動を扇動・支援していると考えている。独立運動活動家は北京からの資金提供を否定しているが、中国が米日両軍の駐留よりも独立琉球国を望んでいることは認めている。

自民党の島田洋一衆議院議員は「中国が沖縄で世論や選出された官僚に影響を与えようとしているのは100%確実」と指摘。玉城デニー知事を「弱い政治家」と批判し、中国との友好的な接触を歓迎し過ぎていると警告。玉城知事は2023年7月に中国を訪問し、「環球時報」のインタビューで中国との文化・教育の絆強化を呼びかけている。

島田議員は「玉城知事は沖縄の防衛強化に強く反対しており、独立活動家が成功すれば、沖縄は一夜にして中国の属国となるだろう」と警告する。これに対し、琉球独立党(嘉利吉クラブ)党首の屋良朝助氏は強く反論。台湾での戦争懸念の高まりが、より多くの沖縄県民の独立支持を促していると主張している。

2022年5月の世論調査では、完全独立の即時実現を支持する県民は3%(2017年は2.6%)、より大きな自治権の実現を支持する県民は48%(5年前は32%)だった。屋良氏はこれを「穏健な独立」支持者の急増と解釈し、中国の浸透が原因だとする見方を否定。そうした主張は独立反対派による中傷であり、政府の安全保障部門でさえ証拠を示せていないと反論する。

琉球王国尚氏王朝の直系子孫である屋良氏は、独立琉球国は中国からの軍事的・経済的圧力を懸念する必要はないと主張。「圧力ではなく協力関係になる」とし、「中国は過去に琉球諸島を完全支配できたはずだが、そうしなかった。侵略し、強制的に沖縄県を設置したのは日本だ」と指摘。中国は琉球国との貿易・経済支援を通じ、友好国としての姿を世界に示すだろうと述べた。

屋良氏は、「国際エンターテイメントセンター」を設立し、中国や北朝鮮の軍人を含む訪問者を歓迎することで、国際理解の促進を図るべきだと提案。これに対し東京・防衛研究所の増田雅之中国研究部長は、屋良氏の構想を「極めて楽観的」と評価。解放軍の沖縄進出を歓迎する発言は日本の世論をさらに分断し、日米同盟を妨げかねないとして、そうした展開は北京の利益に適うと指摘している。

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