ハイテク戦場の時代が到来し、「本格的な軍事行動の前に電子戦を展開」が新たな作戦原則となっている。台湾国家安全局の「2024年中国サイバー攻撃手法分析」報告書によると、台湾政府のインターネットサービスネットワークへの1日平均攻撃回数は240万回で、2023年の1日平均120万回から2倍以上増加。その大半は中国軍によるもので、多くは効果的に阻止されているものの、全体的なサイバー攻撃の状況はますます深刻化している。外部ではあまり知られていないが、中国の電子戦に対応するため、軍は早くから「超天才」たちの育成に照準を合わせている。
国家安全局の統計によれば、国家安全情報チームが2024年に把握した台湾の政府及び民間のサイバー攻撃事案は906件で、2023年の752件と比較して20%以上増加しており、そのうち政府機関が最も高く、全体の8割以上を占めている。中国軍のサイバー攻撃対象を分析すると、通信放送分野(650%増、主に通信業)、交通(70%増)、国防サプライチェーン(57%増)の増加が最も顕著で、これらの分野が中国の新たなサイバー攻撃の重点となっていることが明らかとなった。
「本格的な軍事行動の前に電子戦」 政府が超天才を厳重監視
中国の侵害手法について、国家安全局は8つの手段を明らかに:①政府機関をターゲットとする②ITサービス業者と国防サプライチェーンを狙う③重要インフラに罠を仕掛ける④軍民融合型の犯罪手法を採用する⑤サイバー攻撃の匿名化とダークウェブでの暴露を利用する⑥軍事演習とサイバー攻撃を組み合わせる⑦新興産業を展開して技術を窃取する⑧グローバルな匿名型攻撃ネットワークを構築する、というものである。
このように、中国の対台湾サイバー攻撃は至る所で常時行われており、激化する電子戦・情報戦に対応するため、軍は特定の人材に早くから着目。軍と国家安全保障機関は電子情報人材の獲得を望んでおり、まず各大学の関連学科の学生を「ターゲット」とし、また民間や中科院が主催する神盾杯などのサイバーセキュリティコンテスト、国家科学委員会の研究補助金受給者なども、軍と国家安全保障機関が「密接に監視する対象」となっている。 (関連記事: 独立琉球国は解放軍の観光地となるか? 英メディア:台湾有事に備え北京が沖縄で「静かなる侵攻」 | 関連記事をもっと読む )
高難度の仕組みを設計 ハッキング能力を検証し天才を発掘
神盾杯決勝戦を例にとると、選手は複雑なネットワーク構造の中で外部ネットワークから内部ネットワークに侵入しなければならない。中科院の職員によると、近年よく見られる「サプライチェーン攻撃」のポイントを使用し主に要員が企業への侵入をシミュレーション、内部ネットワークに侵入した後、他の場所に侵入する。つまり、中科院は選手が突破すべき防護機能を設計し、中科院の内部システムやウェブサイトに特別に設置された、データベースや認証機能の脆弱性などを発見させ、突破後の最終目的は企業の最重要部分へのハッキングとなっている。