台大卒、外資系マネージャーの経歴を捨てカメラマンの道へ 黄銘進が日本で「写真で物語を語る」

カメラマン兼作家の黄銘進氏。(写真提供:黄銘進)
カメラマン兼作家の黄銘進氏。(写真提供:黄銘進)
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現在東京在住のカメラマン兼作家の黄銘進は、職場での輝かしいキャリアを持ちながら、30歳を前に恵まれた生活を捨て愛する写真と文章の創作の道へ転身。単身で日本へ移住した。ゼロからのスタートで、孤独や不安、周囲の疑念を経験しながらも、創作の道を一歩一歩切り開いてきた。内なる渇望に勇敢に向き合うことは、どんなに困難でも挑戦する価値があると信じている。

近日、黄銘進は東京で風伝の単独インタビューに応じ、安定した職場から創作の夢を追う心の軌跡を語り、この転機が人生の最も重要な章の一つとなったと語った。

攝影師兼文字創作者黃銘進作品。(黃銘進提供)
30歳を前に恵まれた生活を捨て、愛する写真と文章の創作の道へ転身した黄銘進氏。(写真提供:黄銘進)

華々しいキャリアのスタート その輝きを手放し自分なりの成功を求めて

黄銘進は台湾嘉義市出身。台湾大学国際企業学科を卒業後、複数の外資系企業でブランドマネージャーを務め、若くして羨望の的となる社会的地位と給与を手にした。「卒業後は社会の期待に応えてキャリアを積み重ねてきましたが、このまま続けていって本当に望む人生が送れるのか、これが私の考える成功なのか、時々考えていました」と当時を振り返る。

理想のライフスタイルを追求するため、2年前に既存のキャリアパスを離れ、写真の道へ。文章執筆も続け、その心の軌跡を記録している。日本の写真美学に影響を受けた繊細で柔らかな作風で、ポートレートと旅行をテーマに撮影。文章は生活エッセイと紀行文学を中心に執筆。退職後の2年間はメルボルンや東京に滞在し、その経験が作品のインスピレーションとなっている。キャリアの初期には、ブログ「私、ちょっと出かけてきます(我出去一下)」を立ち上げ、外資系マーケティング職からフルタイムのカメラマン兼作家への転身の軌跡を綴った。

黄銘進にとって、この道を選んだのは短期的な成功を追求するためではなく、時間をかけてより価値のある作品を生み出したいという思いからだった。「核心は常に創作そのものを追求すること。SNSやキャリアチェンジのストーリーといった他のメディアは、より多くの人に作品を見てもらうための窓に過ぎません。本当に重要なのは、内なる思いを共有し、表現することなのです」と。

攝影師兼文字創作者黃銘進作品:生活裡的光。(黃銘進提供)
黄銘進作品:生活の中の光。(写真提供:黄銘進)

作品へのこだわり 写真だけで物語を語れることを目指す

今後の計画について、過去10年の作品を収めた写真集の出版を構想中だという。「純粋な写真集を考えています。写真と文章の併記は考えていません。写真自体が語りかけ、文章には画が浮かぶようなものにしたいのです」と創作へのこだわりと自身の作品への厳格な要求を示す。「それ以外にも私の作品を通じて、より多くの人に台湾の素晴らしい人々や物事を見てもらいたい。故郷の風景や、目に見えない素晴らしい価値観のようなものを」と語る。

最後に、羨望の的となる職場での輝かしい経歴を捨て、ゼロからスタートして現在に至るまで、常に「飢餓感」を持ち続けながらも、「このプロセスを楽しむ」という心構えを保ってきたという。結局のところ、これらはすべて自分自身の選択だからだ。ありふれた言い方かもしれないが、重要なのは「好きなことを選び、選んだことを好きになる」こと。たとえ予期せぬ課題や想定外の出来事に直面しても、それらは私たちを自分の内面により近づけてくれる。おそらく、「道の途上にある」という状態自体が魅力的な生き方なのだろう。

取材当日、風伝は彼と東京・下北沢のコワーキングスペースで会った。ここは彼のインスピレーションが湧き、毎日長時間制作に没頭する場所だという。クリエイターでありながら、インタビュー中に突然「何を話せばいいのかわからない」と漏らすことがあったが、これは言葉に詰まったのではなく、人生の体験があまりに豊かで、一言では言い表せないためだった。彼が語るように、「輝く瞬間」を大切にし、それらの貴重な時間を最高の品質で扱いたいと考えており、インタビューでもその姿勢を貫いていた。

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