「台湾喪失」でも米国民は平穏な生活を維持か 米高官が本音を語る:「利益はあるが生死に関わらず」

トランプ大統領が再就任。写真は2025年1月20日、ワシントンのホワイトハウス大統領執務室で大統領令に署名するトランプ氏。(AP)
目次

トランプ大統領の再就任に伴い、その指揮下にある国防総省高官らの台湾に対する姿勢に顕著な変化が見られている。高官らはもはや台湾とウクライナを同列に論じず、ウクライナへの継続的支援の必要性にも疑問を呈し、ある高官は「台湾を失っても、アメリカ人は変わらず繁栄した生活を送ることができる」と率直に述べている。

川普
2025年1月20日。トランプ大統領(Donald Trump)は就任初日に複数の大統領令に署名。(AP)

米国高官による台湾問題の再定義

香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」昨日(23日)の報道によると、新たに任命された国防副次官補のオースティン・ダーマー(Austin Dahmer)氏はソーシャルメディアプラットフォームXで見解を示し、台湾は米国にとって重要な利益ではあるものの、生死に関わる問題ではなく、台湾が陥落して米国民にとって重大な影響はないだろうと述べた。

米国は2022年のロシア・ウクライナ戦争勃発以来、ウクライナに巨額の軍事支援を提供してきた。去年の上院で承認されたウクライナとイスラエルへの950億ドルの支援予算について、ダーマー氏は反対の意を表明。Xプラットフォーム上で、このような決定はインド太平洋地域における米軍の展開を弱体化させると指摘し、中国を抑制するためには、インド太平洋地域の防衛を直接強化すべきだと強調。中国はウクライナ戦争に参加していないため、目標を中国自体に絞るべきだと付け加えた。

国防総省内部の新勢力が戦略転換を支持

米海兵隊での勤務経験を持つダーマー氏は現在、国防総省の軍事戦略立案を担当している。同氏の同僚には、東アジア担当の国防次官補に就任予定のジョン・ノー(John Noh)氏や、国防副長官上級顧問に就任予定のアレクサンダー・ベレス=グリーン(Alexander Velez-Green)氏が含まれる。ノー氏は米下院中国問題特別委員会の顧問を務めた経験があり、ベレス=グリーン氏はヘリテージ財団の元上級政策顧問である。

ダーマー氏とベレス=グリーン氏は、いずれも国防副長官のエルブリッジ・コルビー(Elbridge Colby)氏の支持者とされている。コルビー氏は「国防戦略」文書の主要起草者で、常に中国を米国の世界覇権に対する主要な挑戦者として見なしてきた。

政策転換で誤ったシグナルを発信する懸念も

この政策転換は外部からの懸念も引き起こしている。スタンフォード大学の研究員オリアナ・スカイラー・マストロ(Oriana Skylar Mastro)氏は、米国がウクライナ支援を停止すれば、中国が米国の国際問題への関与姿勢を誤解する可能性があり、さらにインド太平洋地域の安定性に影響を与える可能性があると指摘している。マストロ氏は、バイデン政権が当初ウクライナ支援を選択した目的は、米国がロシア・ウクライナ戦争に過度に巻き込まれることを避け、より多くの資源と労力を台湾問題に集中させるためだったと述べている。新政権の政策調整に直面し、米国のグローバル戦略配置に影響を与えることは間違いなく、潜在的なリスクも伴っている。

台湾ニュースをもっと深く: 風傳媒日本語版Xをフォロー👉 @stormmedia_jp

タグで探すおすすめ記事