台湾TSMCが消防士をヘッドハント! 年収2倍を目指し転職:「プレッシャーもあるがやりがい大」

TSMCが消防設備士の資格を持つ消防士のヘッドハンティングを行なってきた。彼らは災害対応・新工場の消防設備の改善・そしてリスク管理分析などを担当し、年収は従来の2倍以上からスタートするとされている。(写真:新北市消防局提供)
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2023年、TSMCが消防設備士の資格を持つ「消防士」たちをヘッドハントしているとの情報が流れた。災害対応・新工場の消防設備の改善・リスク管理分析などの業務を担当し、年収は2倍以上になるという。

2022年のカルフールの楊梅物流センター火災、2023年の屏東明揚工場爆発、昨年の台中全聯倉庫火災など、記憶に新しい事故が続いている。今年1月には台南と桃園でも科技工場で火災が発生し、消火に3日を要する事態も起きた。工場火災の増加と巨額の損失を前に、消防設備の専門家の重要性が浮き彫りになっている。

転職を経て…「非常にやりがいがある」

TSMCに転職した陳さんによると、20名以上の消防士がTSMCに転職しており、2線4星の科長クラスも含まれているという。多くは消防設備士の資格を持っているとのこと。

陳さんは、昇進のための加点や査察グループでの専門知識が必要なため、多くの消防士が消防設備士の試験を受験していると説明。消防設備士の試験は消防法規や火災学などの概要のみだが、消防設備師の試験では細部まで問われ、建築法と消防設備関連法規を融合させる必要があり、合格までに2年の準備を要したという。

当初は退職後の転職保障として資格を取得したが、同僚が火災現場で殉職・重傷を負う姿を見て「次は自分かもしれない」との不安から、妻の支持を得てTSMCへの転職を決意。しかし、新たな課題も待ち受けていた。

TSMCでは数十億元規模の工場の安全管理という大きなプレッシャーがあり、即断即決が求められる。公務員時代のように上司の指示を仰ぎ、文書での決裁を待つような余裕はないという。「教科書では簡単に見えたが、実際の執行は本当に難しい」と語る。

10年務めた消防署を去る決断は不安だったが、現在はTSMCのリズムに慣れ年収と安全性を考慮すると「本当に大変だが、価値がある」と締めくくった。

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