コラム:潜水艦のトイレ使用は訓練が必要  「トイレ問題で沈没した潜水艦」は実在した

国産潜水艦は2025年3・4月の間に海上試験(SAT)を実施予定。海鯤号(写真参照)が合格となるかは、国家戦力に関わる重要な課題となっている。(撮影:傅啟禎)
目次

国産潜水艦「海鯤(ハイクン)号」は2025年3月から4月にかけて海上試験(SAT)を実施する予定で、試験の合格は国家の戦力に関わる重要事項となっている。

2024年12月の立法院での潜水艦国産化予算審議において、国民党の陳永康立法委員は多くの疑問を呈した。その中には、海上試験時の艦内食事は自前で用意する必要があることや、トイレの使用訓練を受けていないと「トイレすら使えない」という指摘が含まれていた。

陳永康は元国防部副部長で、海軍司令官在任中に潜水艦国産化を強力に推進。現在の多くの造船計画は彼の任期中に計画された。「老将軍」陳永康の進言には必ず理由があるはずだ。では、なぜ潜水艦内でのトイレ使用にも訓練が必要なのか?訓練を受けないとどのような軍事的危機が生じる可能性があるのか?また、潜水艦内での生活にはどのような知られざる苦労があるのか?

20241118-國民黨立委陳永康18日於外交國防委員會質詢。(顏麟宇攝)
国民党立法委員の陳永康氏(写真参照)は海軍司令官在任中、潜水艦国産化を強力に推進。間もなく海上試験を実施する海鯤号について、多くの提言をしている。(資料写真、撮影:顏麟宇)

水中は暗く、異なる照明で昼夜を表示 誕生日にはステーキも

水中生活は地上とは全く異なる。元潜水艦乗組員の海軍士官によると、潜水艦の航行任務は2、3日から最長30日に及ぶ。乗組員は3交代制で勤務し、交代で睡眠をとる。長期間暗い水中にいることで昼夜の区別がつかなくなるのを防ぐため、艦内の通路では昼間は白色灯、夜間は赤色灯を点灯して時間帯を区別している。

なぜ夜間は一般家庭でよく使用される黄色灯ではなく赤色灯なのか?それは人間の目が赤色光に順応しやすいためだ。ただし、各自の居室では小さな灯りをつけることができ、食事をする食堂は常に白色灯が点灯されている。

潜水艦では、乗組員は1日6食(3回の主食と3回の副食)を摂る。24時間を通じて4時間ごとに食事をとる。厨房では火気は使用できず、電気調理台や蒸し器のみを使用する。スペースが狭いため、1品の料理を2、3回に分けて調理することも珍しくない。面白いことに、潜水艦内は空気が循環しているため、厨房で何を調理しているかは艦内の仲間たちにすぐにわかってしまう。軍官は、潜水艦での生活は制限が多いものの、食事は実際かなり良いと話す。外国の海軍では決まった日にカレーを食べる習慣があるが、台湾の潜水艦では、乗組員の誕生日にはみんなでステーキを食べてお祝いするという。

一方、潜水艦内の淡水は節水が必要だ。出航前に淡水タンクを満タンにし、飲料水や炊事・洗面などに使用するが、最長30日間の航行任務では、最後の数日は淡水は使い切ってしまう。そのため、艦内の海水淡水化装置を使用し、水深約100メートルから海水を取り入れて濾過して使用。軍官によると、乗組員たちは冗談でこれを「深層海水」と呼んでいる。飲んでも悪くはないが、どれだけ濾過しても「かすかな塩味」は残る。ただし、洗面などには問題ないとのことだ。 (関連記事: トランプ氏 再び台湾に言及!半導体生産の98%が「外国に奪われ」と不満、半導体・鉄鋼・銅に関税賦課を示唆 関連記事をもっと読む

潜水艦での生活は陸上とは大きく異なるため、海鯤号は戦力テストだけでなく、艦内の各設備が海底の水圧に耐えられるかどうかも試験する必要がある。

20240227-海鯤號潛艦27日由拖船拖離中信八號浮動船塢移至台船乾塢。(顏麟宇攝)
潜水艦での生活は陸上とは大きく異なるため、海鯤号は戦力テストに加えて、艦内の各設備が海底の水圧に耐えられるかも検証する必要がある。(資料写真、撮影:顏麟宇)
タグで探すおすすめ記事