自衛隊が中国空母の「撃沈検討」と言い出したのは誰か 高市早苗氏の「台湾有事」発言と関係はあるのか

中国の最新空母「福建艦」の飛行甲板には、J15TとJ35の戦闘機が並んでいる。(AP通信)
中国の最新空母「福建艦」の飛行甲板には、J15TとJ35の戦闘機が並んでいる。(AP通信)
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高市早苗首相による「台湾有事」発言をめぐる外交騒動が、この1週間で一気にエスカレートし、日中両国が互いに大使を呼び戻して抗議する事態に発展した。中国側は「首を斬る」などと威嚇する戦狼外交を展開し、日本への渡航注意喚起や航空券の払い戻し措置といった経済的圧力にも広がりつつある。

そうした中で注目されているのが、『産経新聞』7日に報じた「自衛隊が中国空母・福建艦の撃沈を検討している」という話だ。この報道は、台湾危機をめぐる日中対立の議論にさらに油を注いだ形となっている。この「撃沈検討」報道は、高市首相の「台湾有事」発言と関係があるのか。また、日本の安全保障法制が定める「存立危機事態」とはどのように結び付くのか。

高市早苗氏は最初に何を語ったのか

高市首相は11月7日の衆議院予算委員会での質疑で、「台湾有事」は日本の現行「安保法制」の下で、日本の「存立危機事態」に該当しうる、つまり日本が集団的自衛権を行使し得る余地があると述べた。質問に立ったのは、立憲民主党の岡田克也・元外相で、「台湾有事」が安全保障法制における「存亡危機事態」に当たるかどうかをただしたものだった。

これに対し高市氏は、「戦艦が動員され、武力行使を伴うようなケースであれば、存亡危機事態を構成し得ると考える」「実際に事態が発生した際の個別具体の状況を踏まえ、政府があらゆる情報を総合して判断すべきものだ。武力攻撃が発生した場合には、存亡危機事態と認定される可能性は高い」と答弁した。

そのうえで、中国が台湾に対して海上封鎖などの行動を取る場合には、一定の条件下で日本が「存亡危機事態」と認定し、自衛隊による武力行使に踏み切る可能性もあると言及し、「台湾有事が深刻な局面に入った場合には、最悪の事態を想定しなければならない」と強調した。

これは日本政府として初めての踏み込んだ表明か

よく知られているように、安倍晋三氏は2021年7月5日の国策研究院フォーラムで「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と発言し、「台湾有事は日本有事」という概念を広く浸透させた。ただし、その時点で安倍氏はすでに首相を退いており、日本政府を代表しての発言ではなかった。

高市氏の発言以前に、「台湾有事」について最も象徴的とされる日本の現職要人の発言は、同じ2021年7月5日に当時の副首相だった麻生太郎氏が行ったものだ。麻生氏は公開の場で、「中国が台湾に侵攻すれば、東京はそれを『日本の生存への脅威』とみなし、集団的自衛権を行使して米軍とともに台湾を防衛する可能性がある」と強調した。しかし、麻生氏の発言について当時の菅義偉政権は翌日、「仮定の話には答えない」と述べ、正面からの議論を避けた。 (関連記事: 台湾大学名誉教授・明居正氏「中国共産党は高市首相を政局から退陣させようとしている」日米が台湾問題で合意した可能性 関連記事をもっと読む

当時、内閣官房長官を務めていた加藤勝信氏は、一方で「麻生副首相の発言の細部は承知していない」としながら、他方で台湾海峡の危機が「存立危機事態」を構成するかどうかはあくまで仮定の問題であり、実際の状況に応じて具体的に判断する必要があるため「事前に答えることはできない」と強調した。

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