台湾の有力メディア『美麗島電子報』が2日に発表した最新の「1月国政世論調査(2026年)」によると、台湾政界の空気に微妙な変化が生じている。頼清徳総統の支持率が以前の低迷から脱し、回復基調にある一方で、最大野党・国民党に対する社会的な「反感度」は50%近くにまで上昇。好感度はわずか34.4%にとどまり、与党・民進党に10ポイントもの差をつけられる結果となった。
文化大学広告学科の鈕則勲(ニウ・ゾーシュン)教授は、国民党(藍営)が過去に蓄積した「リコール(罷免)反対運動による政治的貯金」は完全に底をついたと警告。党が抱える「3つの構造的弱点」を即座に補強しなければ、今後の展望は極めて厳しいと分析している。
頼清徳氏の支持率はなぜ回復したのか?「経済・貿易」での巧みな情報戦
頼総統の支持率回復について、鈕教授はラジオ番組『POP大国民』の中で、民進党(緑営)による最近の議題設定が「波状攻撃」のように功を奏していると指摘した。
特に注目すべきは、トランプ米政権による相互関税政策が台湾産業に打撃を与えかねない状況下での対応だ。民進党政権は「関税を15%に抑えた」ことを「交渉の大成功」として巧みに演出し、さらに台湾株式市場が3万の大台を安定して維持していることをアピール。本来なら悪材料となり得る経済・貿易問題を、頼政権の実績へと転換させることに成功したのである。
鈕教授は、頼清徳氏の岩盤支持層が結束を取り戻し、以前の「大リコール運動」失敗による負の空気を払拭したと見ている。現在、民進党は「抗中保台(中国に対抗し台湾を守る)」という伝統的な戦術に加え、憲法法廷や民生予算の審議でも新たな戦線を展開。国民党を疲弊させる戦略をとっており、議題の主導権は完全に与党側にある。
国民党主席への不信感が53%超、「勝ち戦」を自滅させる内部混乱
一方、国民党は苦境に立たされている。世論調査によると、鄭麗文党主席への「不信任度」は53.5%に達し、信頼度は約29%に低迷している。鈕教授は、これは有権者が国民党の危機管理能力に強い疑念を抱いている証拠だと分析する。特にTSMC(台湾積体電路製造)の優位性流出リスクなどの重要課題において、国民党の訴求は「強度、深度、広度」がいずれも不足しており、社会的な共鳴を呼べず、単なる「口先だけの批判」と受け取られている。
さらに深刻なのは、本来有利であるはずの選挙区における候補者指名の迷走だ。鈕教授は、新北市、新竹県、台中市、彰化県といった重要拠点を名指しし、党中央が情勢をコントロールできていないと指摘する。
例えば台中市では、党内予備選(予備選挙)が3月までもつれ込む可能性が報じられており、本来の「勝ち戦」を自ら台無しにしかねない状況だ。新北市で可能な「徴召(党本部による直接指名)」がなぜ台中ではできないのか。こうした「時間稼ぎ」のような党中央の優柔不断さは、地方の候補者や支持者の間に不安を広げている。
専門家が提言する「3つの処方箋」:実利ある対中政策を取り戻せ
来るべき選挙戦に向け、鈕教授は国民党に対し、以下の3つの緊急対策を提言した。
- シンクタンクとの連携強化: TSMCや関税リスクについて、単なる批判にとどまらず、座談会やメディア戦略を通じて議論の「厚み」を持たせること。
- 早期の候補者一本化: 優勢な選挙区においては、党幹部が指導力を発揮して迅速に候補者を決定し、支持者の期待に応えること。
- 「実利」ある両岸戦略の再構築: これが最も重要である。国共フォーラムなどのプラットフォームを活用し、台湾の産業や市民にとって具体的な利益となる「実質的なメリット」を引き出すこと。
鈕教授は、「具体的な利益」こそが、民進党の「抗中カード」を打ち破る最も有効な手段であると強調する。もし国民党が戦術を転換できなければ、年末の地方選挙は極めて厳しいものとなり、「2028年の政権奪還という期待も、すべて水の泡(竹籠で水を汲むようなもの)になるだろう」と語気を強めた。
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編輯:丁勤紜 (関連記事: 中台「国共フォーラム」9年ぶり再開 国民党・蕭旭岑氏「協力して世界で稼ごう」、中国・宋濤氏「大陸発展の急行列車に乗れ」 | 関連記事をもっと読む )


















































