阿部守一・全国知事会長「社会のOS更新を」 人口減対策、国主導の医療費統一など求める
阿部守一・全国知事会長は、人口減少は地方の努力のみでは解決困難とし、社会OSの更新に加え、外国人政策や税財源のあり方を含めた国家ビジョンの抜本的転換を提言した。(写真/日本記者クラブ提供)
全国知事会長を務める阿部守一・長野県知事は2026年1月29日、日本記者クラブで「人口減少時代を生きる」をテーマに会見し、加速する人口減少に対応するためには「社会の基本設計(OS)をアップデートする必要がある」と訴えた。阿部氏は、明治維新以降の人口増加を前提とした社会システムが限界を迎えていると指摘し、国に対し、対症療法ではない長期的な国家ビジョンの転換を求めた。
阿部氏は会見で、これまでの「地方創生」について、地域ごとの成果は認めつつも、全体としての東京一極集中や人口減少には歯止めがかかっていない現状を分析。「人口減少問題は、もはや地方の創意工夫や努力だけで対応できるレベルの問題ではない」と明言し、国、国会、各政党が本気で取り組むべき最重要課題であるとして、社会減・自然減対策を含む実効性のある政策再構築を提言した。
具体的な「社会のOS」の更新として、阿部氏は国と地方の役割分担の抜本的見直しを挙げた。特に子ども医療費助成については、自治体間でのバラバラな競争をやめ、「ナショナルスタンダードとして国が責任を持って統一的に対応すべきだ」と主張。一方で、長野県の自然保育「信州やまほいく」のような地域特性を生かした施策については、国の画一的な基準ではなく、地方への権限移譲を進めるべきだとの考えを示した。
また、急増する在留外国人への対応についても言及した。阿部氏は、現場である地方自治体が対応に追われている現状を指摘し、国として「外国人の受け入れに関する基本戦略」や「多文化共生基本法」を策定し、司令塔となる組織を設置して包括的に取り組むよう求めた。
質疑応答では、東京への税収集中と地方財政のあり方について問われ、「国と地方の関係は未だに対等ではない」と苦言を呈した。阿部氏は、補助金によって国のルールに縛られる現状を「地方が国の下請けのようになっている」と表現。国が必要な事務を行うための財源保障を確実にした上で、国から地方への税源移譲を進め、地方が自らの責任で政策決定できる体制への転換が必要だと訴えた。
講演の締めくくりに阿部氏は、宇沢弘文氏が提唱した「社会的共通資本」の概念に触れ、市場原理や官僚統制だけに委ねるのではなく、教育や交通といった社会基盤を持続可能な形で維持する新たな枠組みが必要だと論じた。「右肩上がりの成長」を前提とした価値観から、人口減少下でも豊かさを実感できる社会へのパラダイムシフトを呼びかけ、「将来世代のために、今までの『当たり前』を見直す時期に来ている」と強調した。
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