公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)は8月26日、「この異常気象は気候変動のせい?」をテーマにオンラインプレスブリーフィングを開催し、東京大学大気海洋研究所の今田由紀子准教授が登壇した。会見は日本語で行われ、英語の逐次通訳も提供された。
地球温暖化は新たな段階に
今田氏は冒頭、近年の極端気象と地球温暖化の関連を明らかにする「イベント・アトリビューション(要因帰属分析)」研究の最新動向を紹介。2024年の世界平均気温が産業革命前に比べて1.5度を上回ったと指摘し、「地球温暖化が新たな段階に入った可能性がある」と強調した。
日本の猛暑と自然要因の重なり
日本の2023年・2024年の夏が記録的な高温となった事例を取り上げ、地球温暖化の影響に加え、高気圧や海水温上昇などの自然要因が重なったことが異常な暑さをもたらしたと説明。特に2022年の猛暑は温暖化によって発生確率が240倍に増加しており、2023年と2024年の猛暑については「温暖化がなければ発生し得なかった」と統計的に示されたことを明らかにした。
豪雨の増加傾向と気候変動
大雨については、温暖化の影響で降水量が16〜20%増加したケースが確認されていると指摘。ただし発生頻度への影響は一様ではなく、「豪雨の性質によって結果は異なる」と補足した。
日本独自の要因を考慮した研究
研究手法としては、全球モデルと日本域に特化したダウンスケーリングを組み合わせることで、線状降水帯の発生頻度や都市ごとの極端高温を分析可能と説明。「日本特有の複雑な気象要因を考慮する必要があり、欧米の手法をそのまま適用することはできない」と述べた。
誰が最も被害を受けるのか
質疑応答では、外国メディアから「誰が最も異常気象の被害を受けているのか」と問われ、高齢者が熱波の影響を最も受けやすいと指摘。その上で「個々の環境に応じた適応策が必要であり、科学的知見を社会に伝えることが重要」と語った。
科学と政策の橋渡し
最後に今田氏は、「イベント・アトリビューションは政策決定を支えるツールとなり得る」と強調し、「科学的根拠を迅速かつ正確に発信するためには、メディアとの連携が不可欠だ」と結んだ。
編集:梅木奈実 (関連記事: 天気予報》台風14号(ノンファ)1日発生へ 全台湾3日連続雷雨 | 関連記事をもっと読む )
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