中国、「敵国条項」で日本を牽制 台湾有事発言に強硬反応、外務省は即座に反論

2025-11-24 13:09
中国は国連憲章を引用し、日本を「敵国」と位置づけたうえで、台湾問題に介入すれば侵略と見なし軍事行動も可能だと示唆した。(画像/智慧内容中心)
中国は国連憲章を引用し、日本を「敵国」と位置づけたうえで、台湾問題に介入すれば侵略と見なし軍事行動も可能だと示唆した。(画像/智慧内容中心)
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日本と中国が「台湾有事」をめぐって応酬を続けるなか、外交上の対立は戦後国際法のグレーゾーンにまで広がっている。高市早苗首相が7日の国会答弁で「台湾有事」に関して見解を示したことを受け、中国は圧力のレベルを急速に引き上げた。中国駐日大使館は21日、SNSで日本を名指しし、国連憲章の「敵国条項」に言及。「東京が侵略行為を行った場合、中国は安保理の許可なく武力行使が可能だ」と示唆した。これに対し、日本外務省は23日、公式アカウントで「敵国条項は1995年に国連総会で『時代遅れ』と位置づけられている」と反論。戦後条文をめぐる角逐の背景には、台海安全保障をめぐる中双方の思惑を映し出している。

中国「台湾に介入すれば侵略行為」 敵国条項を持ち出し対日圧力を強化

高市首相の7日の「台湾有事」に関する国会答弁は、中国にとって日本が台海情勢で一段踏み込むシグナルと受け止められた。その後わずか2週間も経たないうちに、中国駐日大使館は21日、公式SNSに投稿を掲載。国連憲章第53条、第77条、第107条を逐条引用する異例の手法で、日本が第二次世界大戦において「敵国」と位置づけられていた点を強調した。

投稿では、台湾問題で「日本が侵略を発動した」と認定される、または衝突に介入した場合、「侵略行為」に該当し得ると指摘。さらに、「その場合、中国は敵国条項に基づき、日本に対して安保理の授権なく軍事行動を取ることができる」と踏み込んだ。

これは、戦後の枠組みとして連合国側が枢軸国に設計した制度をあらためて持ち出すもので、日本に対し「戦後の立場は国際法上完全に消えたわけではない」と示す意図がある。中国にとって今回の投稿は、日本の政界に対する台湾関連発言への警告、国内世論に向けた「法に基づき主権を守る」強硬姿勢の演出という二つの狙いがあるとみられる。また一般には馴染みの薄い国連憲章の条文を持ち出すことで、対日圧力のレベルをさらに引き上げる効果を狙った形だ。

日本外務省「敵国条項は既に『時代遅れ』」 国際社会の共通認識を強調

中国大使館による異例の「法律戦」に対し、日本政府は沈黙を選ばず、外務省が23日、公式SNSで投稿を行い、中国の見解に直接反論。1995年の国連総会決議50/52号を挙げ、「冷戦終結後、国際社会は敵国条項を第二次大戦の産物として『時代遅れ』と認識している」と指摘した。

外務省は、この決議が国連総会で圧倒的多数の賛成で採択された点を強調し、「現代の国家間関係に適用されるべきではない」と明確に主張。これは中国の投稿への反駁であると同時に、日本は戦後の「敵国」ラベルを受け入れない。また、中国が敵国条項を根拠に武力行使の正当性を主張することを認めないという国内外へのメッセージでもある。
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さらに外務省は、条文の逐条解釈で中国と争うことを避け、「国際社会の共通認識」と「歴史的経緯」に焦点を置くことで、中国が国連憲章の解釈主導権を握ることを回避しようとする姿勢がうかがえる。

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