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中国、「敵国条項」で日本を牽制 台湾有事発言に強硬反応、外務省は即座に反論 中国は国連憲章を引用し、日本を「敵国」と位置づけたうえで、台湾問題に介入すれば侵略と見なし軍事行動も可能だと示唆した。(画像/智慧内容中心)
日本と中国が「台湾有事」をめぐって応酬を続けるなか、外交上の対立は戦後国際法のグレーゾーンにまで広がっている。高市早苗首相が7日の国会答弁で「台湾有事」に関して見解を示したことを受け、中国は圧力のレベルを急速に引き上げた。中国駐日大使館は21日、SNSで日本を名指しし、国連憲章の「敵国条項」に言及。「東京が侵略行為を行った場合、中国は安保理の許可なく武力行使が可能だ」と示唆した。これに対し、日本外務省は23日、公式アカウントで「敵国条項は1995年に国連総会で『時代遅れ』と位置づけられている」と反論。戦後条文をめぐる角逐の背景には、台海安全保障をめぐる日 中双方の思惑を映し出している。
中国「台湾に介入すれば侵略行為」 敵国条項を持ち出し対日圧力を強化 高市首相の7日の「台湾有事」に関する国会答弁は、中国にとって日本が台海情勢で一段踏み込むシグナルと受け止められた。その後わずか2週間も経たないうちに、中国駐日大使館は21日、公式SNSに投稿を掲載。国連憲章第53条、第77条、第107条を逐条引用する異例の手法で、日本が第二次世界大戦において「敵国」と位置づけられていた点を強調した。
投稿では、台湾問題で「日本が侵略を発動した」と認定される、または衝突に介入した場合、「侵略行為」に該当し得ると指摘。さらに、「その場合、中国は敵国条項に基づき、日本に対して安保理の授権なく軍事行動を取ることができる」と踏み込んだ。
これは、戦後の枠組みとして連合国側が枢軸国に設計した制度をあらためて持ち出すもので、日本に対し「戦後の立場は国際法上完全に消えたわけではない」と示す意図がある。中国にとって今回の投稿は、日本の政界に対する台湾関連発言への警告、国内世論に向けた「法に基づき主権を守る」強硬姿勢の演出という二つの狙いがあるとみられる。また一般には馴染みの薄い国連憲章の条文を持ち出すことで、対日圧力のレベルをさらに引き上げる効果を狙った形だ。
日本外務省「敵国条項は既に『時代遅れ』」 国際社会の共通認識を強調 中国大使館による異例の「法律戦」に対し、 日本政府は沈黙を選ばず、 外務省が 23日、公式SNSで投稿を行い、中国の見解に直接反論。1995年の国連総会決議50/52号を挙げ、「冷戦終結後、国際社会は敵国条項を第二次大戦の産物として『時代遅れ』と認識している」と指摘した。
さらに外務省は、条文の逐条解釈で中国と争うことを避け、「国際社会の共通認識」と「歴史的経緯」に焦点を置くことで、中国が国連憲章の解釈主導権を握ることを回避しようとする姿勢がうかがえる。
「条文未削除」が生む法と政治の狭間 しかし、外務省の声明が明確には触れなかった点として、1995年の国連総会決議はあくまで「勧告」にすぎず、加盟国を直接拘束する条文改正手続きではないという事実がある。つまり、決議が国際社会における「敵国条項」への問題意識を反映しているにもかかわらず、国連憲章そのものは正式な改訂が行われておらず、該当条文は現在も憲章本文にそのまま残っている。この「政治的には失効、法的には存続」という矛盾こそが今回の論争の核心である。
北京は、あえて現存する条文を根拠に「自分たちは国連憲章に基づき行動しているだけだ」という姿勢を強調し、「法に基づく主張」というイメージを打ち出した。一方、東京はこれらの文言を「すでに時代遅れであり、現代の国際関係には適用されない」と主張する。両者の主張はいずれも一部の事実を押さえているが、互いに都合の悪い側面を意図的に切り落としており、今後ほかの国家が「冷戦・戦後条文」を外交カードとして利用する可能性を残したともいえる。
実務の面では、多くの国や国際法学者がこれらの条文を象徴的な歴史の遺物と見なしてきたため、過去の「敵国」を相手にこれを根拠として大規模軍事行動を起こした国家は存在しない。しかし、政治的アピールや世論戦においては、「条文が残っている」という事実だけで警告シグナルとして利用可能であり、今回の中国駐日大使館の投稿はその典型だといえる。
台海問題が日中対立の「拡大鏡」に さらに注目されるのは、中国がこのタイミングで「敵国条項」を持ち出した背景が、単なる戦後史の回顧ではなく、明確に台海情勢と結びついている点である。中国は繰り返し台湾問題を「内政問題」であり、外国の干渉を許さないと強調してきた。一方、米国や欧州の複数国は軍艦を台湾海峡に通過させ、この海域が国際航路であることを示す「航行の自由」作戦を定例化している。
こうした状況で、中国駐日大使館の投稿は、日本に対して「台湾有事で介入するな」という警告であるだけでなく、国際的な言論空間において「東京が中国の考えるレッドラインを越えれば、侵略行為と認定され得る」というメッセージを発信したことにもなる。これは、日本にとって安全保障政策や台湾有事対応の選択肢に影響するだけでなく、地域諸国が中日両国をどう評価するかという信頼とリスク認識にも作用する可能性がある。
外部から見れば、今回の「敵国条項」をめぐる攻防は、法律文言、歴史記憶、そして現実の戦略計算を組み合わせた多層的な駆け引きに近い。中国は「条文がまだ存在する」という事実を用いて威圧効果を高め、日本は「国際社会はすでに過去を乗り越えた」という論理で中国の主張を相殺しようとしている。両国とも国連憲章の改正という困難な手続きに踏み込んでいるわけではないが、台海情勢が一層敏感になる中、国際的な物語空間で主導権を握ろうとしている構図が浮かび上がる。
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