米ウクライナ停戦協議が大きく前進 汚職疑惑と前線劣勢の狭間で、ゼレンスキー氏はどこまで拒めるのか

2025-11-25 13:08
2025年11月21日、ウクライナ西部トルノポリの自宅前で、ロシアの空爆で深刻な被害を受けた家屋を背に家族写真を掲げる女性。(AP通信)
2025年11月21日、ウクライナ西部トルノポリの自宅前で、ロシアの空爆で深刻な被害を受けた家屋を背に家族写真を掲げる女性。(AP通信)
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米国とウクライナの関係者は23日、ジュネーブでの協議を経て、これまで「ロシア寄り」と批判されてきた停戦案を修正することで一致したと明らかにした。両国は今後、より簡潔にまとめた新たな「和平フレームワーク」をめぐり協議を続ける方針だが、具体的な内容は開示されていない。ホワイトハウスは別途声明を発表し、ウクライナ代表団が修正版について「国家利益に合致し、核心的な戦略ニーズに応えるものだ」と評価していると説明した。ただし、キーウ側は独自の声明を出していない。

英国の『フィナンシャル・タイムズ』によれば、今回のジュネーブ会合には米国・ウクライナのほか、フランス、ドイツ、英国、EUの国家安全保障担当者が参加した。米側はマルコ・ルビオ国務長官、ドナルド・トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏、特使スティーブ・ウィトコフ氏、副大統領JD・ヴァンス氏と近い関係にある陸軍長官ダニエル・ドリスコル氏らが出席。ウクライナ側はゼレンスキー大統領の側近であるアンドリー・イェルマーク氏、国家安全保障会議書記長ルステム・ウメロフ氏が率いた。

2025年11月23日。米ウク双方代表団がスイスのジュネーブで会談を行った。(AP)
2025年11月23日、スイス・ジュネーブで会談に臨むアメリカとウクライナ双方の代表団。(AP通信)

現在修正後の計画が、最も困難な問題をどのように扱うのかは不明であり、ロシアの脅威が続く中でウクライナの安全をどのように保障するのかという点が含まれている。ホワイトハウスから発表された声明では、「建設的な進展」が会談で見られたとしており、あらゆる合意には「ウクライナの主権を完全に保護し、持続可能な公正な平和をもたらさなければならない」と強調している。アメリカとウクライナは、27日までに「集中的に作業を進める」予定だが、ルビオ氏は23日の深夜にワシントンへ飛び立った。知識筋によれば、ゼレンスキーは早ければ今週末にもアメリカを訪れ、トランプと直接に最も敏感な内容を話し合う可能性がある。

トランプ政権が最初に提示した「28ヶ条の平和計画」は、欧州とウクライナに不安を引き起こしており、批判者は同計画がウクライナの主権と安全を侵害しているとしている。トランプはさらに、27日までにキエフが計画に対して回答することを求め、その内容にはキエフに領土をロシアに譲り、NATOへの加入企図を放棄し、軍隊の規模を制限するという要求が含まれている。また、計画は欧州がウクライナに「抑止部隊」を配備することを禁じ、将来のロシアの攻撃を防ぐためとしている。 (関連記事: 論評:ウクライナ和平案と台湾の「国民安全ガイド」 頼清徳氏の戦争認識を問う 関連記事をもっと読む

焦点となっているのは、ロシアの脅威が続く中でウクライナの安全保障をいかに確保するかという最難関の問題だ。ホワイトハウスは声明で、協議が「建設的な進展」を見せたとしつつ、いかなる合意も「ウクライナの主権を完全に維持し、持続的かつ公正な平和」をもたらす必要があると強調した。米国とウクライナは27日まで「集中的に作業する」としているが、ルビオ氏は26日深夜にワシントンへ戻った。関係者によると、ゼレンスキー氏は最も敏感な論点を直接話し合うため、今週にも訪米する可能性があるという。

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