最大震度7を観測した2026年熊本地震の発生から1カ月余りが経過し、災害派遣医療チーム(DMAT)をはじめ、多くの医療・福祉支援チームが現地で活動を続けている。
9月7日、神奈川県立病院機構理事長で日本災害医学会理事の阿南英明氏が日本記者クラブで講演し、東日本大震災や10年前の熊本地震、能登半島地震の経験を踏まえた災害医療の進化と、今後の課題について詳しく語った。
熊本地震から1カ月 直接的な負傷者減少後も医療ニーズは長期化
阿南氏はまず、実際の患者の動向データを示し、地震で直接負傷した患者は発生から1週間程度で落ち着く傾向にある一方、慢性疾患などの間接的な医療ニーズや、継続的な受診が必要な患者への対応は長期化すると説明した。
災害医療の歴史を振り返ると、30年前の阪神・淡路大震災では、報道される死傷者数と実際の被害規模に大きなギャップがあり、外部からの医療チームが本格的に介入したのは3、4日目から1週間後だったという反省があった。
この教訓から10年後にDMATが創設され、ヘリコプターなど航空機を使った広域搬送が運用されるようになった。
2016年熊本地震、直接死50人に対し災害関連死は200人
また、10年前の熊本地震では、直接的な死者50人に対し、その4倍にあたる200人が災害関連死で亡くなったというデータが示された。
日本の高齢化が進む中、避難所生活による活動量の低下が足腰の衰弱や誤嚥性肺炎を引き起こし、高齢者が命を落とす事例が多発している。
阿南氏は、災害関連死は医学用語ではなく、行政用語として幅広く救済する傾向があるとしつつも、間接的な死亡を防ぐための対策が急務だと強調した。
能登半島地震では約2000人を搬送 熊本との違いは「広域被害」
2年半前の能登半島地震では、高齢化率が50%を超える地域で、約2000人の入院患者や施設入所者を陸路や空路で長期にわたって搬送する対応が行われた。
熊本地震が局地的な被害だったのに対し、能登では広範囲にインフラが寸断されたため、現地の医療・福祉サービスを維持しながら定員を削減して対応せざるを得なかったと、両者の違いを分析した。
DMAT支援で重要な「情報とマネジメント」 被災病院を可視化
災害時の医療支援を効率的に進めるため、阿南氏は情報とマネジメントの重要性を指摘した。
必要な時に欲しいものが欲しい場所にある仕組みをつくるためには、コンビニエンスストアのように情報を管理し、調整する機能が求められるという。
医療機関の被害状況を酸素、電気、水の使用可否によって4つのグループに分類し、その情報をEMISに反映させることで、支援が必要な病院を可視化し、DMATを優先的に配置するマネジメントが行われた。 (関連記事: 「2026熊本地震」発生1カ月 日本赤十字社が報告会見 過去の教訓活かした迅速対応と関連死防止への課題 | 関連記事をもっと読む )
この手法は高齢者介護施設にも転用され、現地の支援ステータスを明確にすることで、無駄のない動きを実現した。














































