熊本地震の発生から1カ月を迎えるのを前に、県の基幹災害拠点病院としてイオンモールの爆発による負傷者や被災病院から患者を受け入れてきた熊本赤十字病院院長の奥本克己さんと、被災地で救護・支援活動を展開する災害医療コーディネーターの植田信策さん、本社で支援活動の全体を統括する佐藤展章さんが登壇。
10年前の熊本地震での対応がどう生きたのか、発生からこの間の医療活動や、救護・支援を振り返るとともに、今後留意すべき点などについて話した。司会は行方史郎日本記者クラブ企画委員(朝日新聞社)が務めた。
災害支援の課題、切れ目ない支援体制の重要性
日本赤十字社(以下、日赤)の佐藤展章氏は、日赤が掲げる県民や被災者ファースト、人道支援のために何でもするという基本方針のもと、平時から復旧・復興期まで切れ目のない支援を行う災害マネジメントサイクルの重要性を強調した。
今回の対応では、全国から救護班や災害医療コーディネートチーム、心のケア班などが派遣され、延べ4046人の職員が現地で活動した。
また、防衛省手配のフェリーを活用した入浴サービス時のメディカルチェックや給水・洗濯支援、全国の血液センターと連携した血液製剤の安定供給など、多岐にわたる支援を展開した。
被災地へのアクセスが早期復旧したことで、水やスポットクーラー、段ボールベッドなどのプッシュ型支援が強力に進んだ。一方で、在宅や車中泊の避難者把握や、井戸依存地域における水インフラ復旧、発災後1カ月から3カ月にかけて増加が懸念される災害関連死への対策、支援者自身のストレスケアが今後の課題として挙げられた。
熊本地震の教訓を生かし、災害関連死防止へ
植田信策氏は、2016年の熊本地震で直接死の約4倍に上った災害関連死の原因を分析し、避難所生活の身体的・精神的疲労が大きな要因であったと指摘した。
床に直に寝る雑魚寝環境は、エコノミークラス症候群、粉塵吸入による呼吸器感染症、生活不活発病、睡眠不足による血圧上昇などを引き起こすため、日赤として段ボールベッド導入によるベッド化を推進してきた。
ベッド化により立ち上がりやすさが向上して高齢者の活動性が保持されるほか、床面の清掃が可能になり衛生環境が格段に向上する。
さらに植田氏は、猛暑下での被災において熱中症だけでなく、疲労やストレスに起因する心不全の増加、栄養不足やタンパク質欠乏によるサルコペニア、誤嚥性肺炎への警戒を呼びかけた。
内閣府のプッシュ型支援による段ボールベッドやシステムを通じたトイレカーの導入効果を評価しつつも、現場での円滑な運用のための平時訓練や、温かく個々の状態に合わせた食事提供体制の構築が不可欠であると訴えた。 (関連記事: 【インタビュー】なぜ熊本で地震が相次ぐのか TSMC熊本工場の立地と台北「300年断層」を地質学者が分析 | 関連記事をもっと読む )
災害医療の鍵は平時の備え、避難者支援と知見継承が課題
奥本克己氏は、熊本赤十字病院の災害対応が2011年の東日本大震災での派遣で学んだ受援体制の重要性や、2016年の熊本地震の経験から始まっていたと振り返った。













































