日本外国特派員協会で2026年8月24日、若き歌舞伎俳優である八代目市川染五郎と三代目尾上辰之助を招いた記者会見が開催された。
両名は2027年1月にイギリス・ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で予定されている歌舞伎公演に向けた意気込みや、日本の伝統文化を海外へ発信する意義について語った。
今回の公演はパンデミック以降、ヨーロッパで2回目となるイベントであり、次世代を担う2人の若手俳優に大きな注目が集まっている。
ロンドン公演へ意気込み 歌舞伎の美しさを世界へ発信
市川染五郎は、自身初となる海外公演について、憧れであった海外での舞台に立てる喜びを語った。歌舞伎は400年以上前に誕生し、日本の独自の文化や美意識、様式美が詰まった芸術であるとし、時代ごとの人々の感性を吸収しながら現在に至っていると説明した。
演劇としてだけでなく、日本人が何百年も積み重ねてきたものを象徴する鏡のような存在であり、その美しさを海外の人々に知ってもらうことが重要だと強調した。同時に、まずは日本の人々にも歌舞伎をさらに知ってほしいという思いも明かした。
尾上辰之助は、映画や新作歌舞伎、ネット配信の効果により国外でも歌舞伎が知られるようになっている現状に触れつつ、実際に生で感じられる雰囲気や空間こそが歌舞伎の魅力であると述べた。
サドラーズ・ウェルズ劇場での公演を通じて、実際に歌舞伎を見たことがない海外の観客にその芸術を生で体感してもらい、次世代へと受け継がれていく歌舞伎の力を伝えていきたいと語った。
白塗り化粧や舞踊で魅せる 初めての観客にも届く歌舞伎
記者からの質疑応答では、歌舞伎特有の白塗り化粧やロンドンでの認知度についての質問があがった。
市川染五郎は、白塗り化粧が江戸時代の暗い芝居小屋のろうそくの明かりの中で、少しでも顔が見えるようにという工夫から生まれた歴史的背景を説明し、現代の明るい照明のもとでもその特有の美しさが受け継がれていると述べた。
原点に立ち返り、なぜその表現が生まれたのかを紐解くことも現代で歌舞伎を見る面白さの一つだとしている。
また、歌舞伎になじみのない海外の観客へのアプローチについて、尾上辰之助は今回の演目が言葉や理屈抜きで楽しめる舞踊を中心としていることを明かした。
事前知識がなくても視覚や音で楽しめる構成となっており、古典的な演目でどれだけのものを魅せられるかが彼らの挑戦であると語った。特別な変更を加えるのではなく、昔から伝わる古典歌舞伎の力と肉体表現としての美しさで観客を感動させるべく準備を重ねているという。
SNSや新たな入口も活用 次世代へつなぐ歌舞伎の未来
SNSや新しいメディアの活用に関しても意見が交わされた。市川染五郎は、歌舞伎の本質は舞台演劇であるとしつつも、SNSを使うことで偶然情報が目に入り、そこから興味を持ってもらう入り口として非常に効果的であると評価した。 (関連記事: 八代目尾上菊五郎・六代目菊之助、伝統の継承と革新を語る「重責はエベレストの頂上を目指す感覚」 | 関連記事をもっと読む )
尾上辰之助も、現代は役者個人を先に知ってから舞台を見に来る観客も多いため、外部の仕事やSNSを含めて役者を知ってもらうツールとして重要視していると語った。















































