草間彌生さんの訃報受け、台湾で10年前のものまね映像に再注目 台湾タレントが「鏡を見ているよう」

「水玉の女王」と称される草間彌生氏。(Wikipediaより、日本文部科学省撮影/CC BY 4.0)
「水玉の女王」と称される草間彌生氏。(Wikipediaより、日本文部科学省撮影/CC BY 4.0)

日本の前衛芸術家・草間彌生氏が今月14日、多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。享年97。公式ウェブサイトが27日に公表した。草間氏は生前、鮮やかな水玉模様や網目、カボチャをモチーフにした作品で世界的に名声を博し、台湾でも極めて高い知名度を誇った。

草間氏の訃報を受け、かつて台湾のタレント、董至成氏が披露した草間氏のものまねが再び注目を集めている。董氏は約10年前、草間氏のトレードマークである赤いウィッグと水玉模様の衣装で番組に登場し、その「激似」ぶりが当時大きな話題を呼んだ。当時の写真が掘り起こされると、ネットユーザーからは「まるで鏡に映ったかのようだ」と驚きの声が上がっている。

長年の時を経て、再び草間彌生氏のものまねを披露した董至成氏(右)。(写真/草間彌生公式サイトおよびYouTubeチャンネル『小姐不熙娣』より引用)
草間彌生氏のものまねを披露する董至成氏(右)。(写真/草間彌生公式サイトおよびYouTubeチャンネル『小姐不熙娣』より引用)

董至成氏「鏡を見ているよう」

発端は2016年に遡る。董氏は、張小燕氏が司会を務める台湾のテレビ番組『小燕之夜』に出演。当時、番組ではタレントが著名人のものまねに挑戦する企画が組まれており、董氏は一目でわかる草間氏のスタイルに扮装した。鮮やかな赤いショートヘアのウィッグを被り、メイクで顔立ちを寄せただけでなく、ことさら表情を作ったり顔をしかめたりせずとも、その外見は草間氏にそっくりで、人々に強い印象を与えた。当時董氏は、「これまで自分で(探して)他人のものまねをしてきたが、草間氏だけは周りから『すごく似ている』と言われた」と述べ、「鏡を見ているのと変わらない」と表現してスタジオのゲストを沸かせていた。

興味深いことに、董氏が草間氏に扮したのはこの時だけではない。約8年後の2024年、台湾の司会者・徐熙娣(小S)氏が司会を務める番組『小姐不熙娣』に出演した際にも、再び同様のスタイルで登場し、トレードマークの赤いショートヘアと草間氏の雰囲気を再現した。『小燕之夜』と『小姐不熙娣』、董氏は二度にわたり草間氏のものまねに挑んだことで、この扮装は、彼が演じる代表的なキャラクター「董月花」に次いで、視聴者に強い印象を残すものとなった。

長年の時を経て、再び番組で草間彌生氏に扮した董至成氏(画像参照)。(写真/YouTubeチャンネル『小姐不熙娣』より引用)
草間彌生氏のものまねを披露する董至成氏(画像参照)。(写真/YouTubeチャンネル『小姐不熙娣』より引用)

董至成氏、客家女性キャラでかつて台湾を席巻

事実、董氏はもともと台湾のバラエティー界を代表する「女装タレント」の一人。最も有名なキャラクターは、番組『紅白勝利』で扮した客家(ハッカ)女性の「董月花」であり、「董月花、寒ければ寒いほど花が開く」というキャッチフレーズは多くの視聴者の記憶に残る。ただ、このキャラクターは絶大な人気を博す一方で論争も巻き起こした。

番組内で董月花が水をかけられたり、「阿魯巴(アルーバ、股間を柱などに押し付けるいたずら)」をされたりするコントが放送されたことや、意図的に大げさで愚鈍なキャラクターに設定されていたことから、客家女性のイメージを損なうと一部の視聴者から反発を招き、テレビ局には抗議の電話が殺到。ボイコットを呼びかける事態にまで発展した。

当時の反発の声に対し、董氏は後年、プロデューサーが番組メンバーを連れて台湾の行政院客家委員会へ謝罪に行くことすら検討していたと振り返っている。しかし否定できないのは、「董月花」が董氏の芸能生活における重要な代表的キャラクターとなり、彼を一躍有名にしたということ。長い年月を経て董月花について語った際、同氏はユーモアを交え「このキャラクターはもはや『媽祖(道教の女神)』のようなもので、たまに巡行するくらいだ」と語っている。もし番組から再演の要望があれば拒むことはないが、衣装からメイクまでしっかりと用意し、単なるおふざけのためにいい加減に扱うことは避けてほしいと語った。

かつて「董月花」に扮して台湾全土で人気を博した董至成氏(右)。長年の時を経て、2025年の第60回金鐘奨(ゴールデン・ベル・アワード)のステージで再び董月花を演じた。(写真/YouTubeチャンネル『金鐘奨』より引用)
かつて「董月花」に扮して台湾中で人気を博した董至成氏(右)。2025年に金鐘奨のステージで久しぶりに董月花を演じた。(写真/YouTubeチャンネル『金鐘奨』より引用)

董氏が草間氏のものまねを披露してからちょうど10年の月日が流れ、草間氏も97歳でその伝説的な生涯の幕を閉じた。この日本の芸術家は、反復される大量の水玉模様を通じ、かけがえのない独自の芸術言語を確立。赤いショートヘアと鮮やかな衣装は、晩年の彼女にとって最も広く知られるイメージとなった。当時、董氏がメイクとウィッグ、衣装だけで草間氏そっくりの姿を演じた台湾バラエティ番組の映像は、草間氏の死去に伴い、10年の時を超え、思いがけず特別な記憶として再び話題を集めている。

編集:平松靖史

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