英発電所が4日間停止、イラン系ハッカー関与か 台湾重要インフラには中国系攻撃が1日263万回
台湾電力の幹部は、同社のシステムが1日平均約3万回のサイバー攻撃を受けており、政治的に敏感な時期には短期間で数百万回に急増することもあると明らかにした。(資料写真/台電提供)
英紙デイリー・テレグラフの報道によると、イランのイスラム政権と関係を持つハッカー集団が、英国の小規模発電所をハッキングし、4日間にわたり稼働を停止させたと伝えられている。この事件は、英国の電力インフラを標的とした同種の攻撃としては初めての事例とみなされており、これまで厳密な「エアギャップ(物理的隔離)」による防護下でこうした攻撃は理論上、発生し得ないとされていた。
英政府は被害を受けた発電所名の公表を拒否しているが、関係者の分析によると同発電所の規模は小さく、停止期間中も全国の電力供給に目立った影響は出なかったという。政府情報筋は、当該発電所の発電容量は電力網全体に対し、無視できるほど小さく、重要発電設備の法定通報基準には遠く及ばないとしている。また報道では、今回の攻撃は米国の複数の水道インフラに対するサイバー攻撃と同時期に行われた組織的犯行の一部だった可能性が指摘されている。
広範なエネルギーシステムへのリスク発生には至らず
重要インフラは理論上、インターネットから物理的に完全に切り離されるべきだが、自動化システムやインターネット接続機器の普及に伴い、過去には存在しなかった脆弱性が徐々に表面化している。しかし英政府報道官は、英国のエネルギーシステムは高いレジリエンス(強靱性)を備えており、今回の事態がより広範なエネルギーシステムにいかなるリスクももたらすことはなかったと強調した。
イランは近年、軍事的打撃を受けているものの、サイバー領域における非対称的な優位性は依然として注視されている。英下院情報安全保障委員会はこれまで、イランが英国の重要インフラに対して実質的な影響を及ぼすサイバー攻撃を仕掛ける可能性は低いと評価していたが、サイバー戦は依然としてイランの非対称戦略における重要な柱となっている。
同様の脅威は台湾でも継続して発生している。中華民国国家安全局が2026年1月に公表した報告書『2025年中国共産党による我が国の重要インフラに対するサイバーハッキング脅威分析』によると、中国政府に関係を持つハッカー集団による台湾の重要インフラ9種に対するサイバー攻撃は、2025年には1日平均約263万回に達した。これは2024年の1日平均約246万回から6%増加、2023年の同約123万回と比べれば顕著に増加したことを意味する。重要インフラ9種には、政府機関、エネルギー、通信・放送、交通、救急・病院、水資源、金融、科学・工業団地、および食糧関連の施設が含まれる。
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報告書によれば、エネルギー分野の施設が2025年に受けたサイバー攻撃は前年比で10倍以上に急増。増加幅が最も顕著なターゲットとなった。また救急・病院分野も約54%の増加を記録した。中国のサイバー部隊は、台湾の石油、電力、天然ガスなどの公営・民営エネルギー企業のネットワーク機器や産業用制御システムを徹底的に探り、ソフトウエア更新のタイミングに乗じたマルウェア(悪意のあるプログラム)の組み込みを狙っている。その目的は、エネルギー産業の運用メカニズム、物資計画、およびバックアップの整備などに関する情報を掌握することにある。
主に活動している中国関連のハッカー集団には、「BlackTech」「Flax Typhoon」「Mustang Panda」、および「APT41」や「UNC3886」などが含まれる。攻撃手法はソフトウエアやハードウエアの脆弱性を突くものが主体で、5割以上を占めており、次いでDDoS(分散型サービス妨害)攻撃、ソーシャルエンジニアリング攻撃、サプライチェーン攻撃が続き、これらを柔軟に織り交ぜて用いている。また、一部の攻撃は、そのタイミングが中国人民解放軍による台湾周辺での「連合戦備警巡(合同パトロール)」や政治的に敏感な時期と一定の関連性を示している。
台湾電力のシステム、1日約3万回のサイバー攻撃
公営電力会社、台湾電力(台電)の幹部はかつて、同社のシステムが1日平均約3万回のサイバー攻撃を受けており、政治的に敏感な出来事が発生した期間中には、短時間で数百万回にまで急増することもあると公に述べている。2026年8月、英紙フィナンシャル・タイムズは、イスラエルのサイバーセキュリティ企業「Dream」の調査を引用し、中国の関係が疑われるハッカーがオープンソースの人工知能(AI)ツールを利用し、7月上旬に台湾政府のシステムに対して自律型サイバー攻撃を仕掛けたと報じた。
このツールは複数の自律型エージェントを同時に展開し、システム構成図の作成、脆弱性の発見、および戦略の調整を行い、少なくとも85件の政府ユーザーアカウントを侵害し、2500件以上の個人データを窃取。その後、攻撃は原子力安全の管轄機関や少なくとも7社のエネルギー企業へと拡大したとされる。専門家は、関連するハッカーが内部の通信に簡体字中国語を使用していたと指摘した。
台湾の国家安全およびサイバーセキュリティ機関は、共同防衛メカニズム、国際協力、そして軍事演習「漢光」などを通じて、エネルギーや通信などの重要インフラに対する脆弱性の調査、ペネトレーションテスト(侵入テスト)、およびバックアップの整備を継続的に実施している。
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