東京が止まれば日本も止まるか 首都直下地震に備える「副首都」法、なぜ「大阪ありき」と批判されるのか

大阪の「副首都」誘致をPRする公式キャラクター「にゃにわ福まる」。(大阪市公式サイトより)
大阪の「副首都」誘致をPRする公式キャラクター「にゃにわ福まる」。(大阪市公式サイトより)

今後30年以内に70%程度の確率で発生するとされる首都直下地震への備えとして、日本の国会は7月24日、「副首都整備推進法(国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律)」を可決した。

東京が自然災害に見舞われた場合に備え、政治・行政・経済機能のバックアップ拠点となる「副首都」を指定する法的枠組みを整えるのが狙いだ。一方、自治体による誘致競争が始まる中、野党からは、高市早苗政権が日本維新の会との連立関係を安定させるため、防災を名目に利益誘導を行っているのではないかとの批判も出ている。

米紙『ニューヨーク・タイムズ』は、日本の食、文化、商業、行政の中心として158年にわたり存在感を示してきた東京に、近く「代替拠点」が設けられる可能性があると報じた。高市政権が進める「副首都構想」は、自然災害などの緊急事態に際し、政府機能を継続させるためのバックアップ拠点を設けるものだ。

法案は衆議院で可決された一方、参議院本会議では賛成123票、反対121票と、わずか2票差で成立した。米通信社『ブルームバーグ』は、この僅差の採決が、副首都構想の実現までに多くの困難が待ち受けていることを示していると伝えている。

なぜ「副首都構想」なのか

​第2の首都を置くという考え方には、日本の歴史上にも先例がある。江戸時代(1603~1868年)には、江戸が政治・行政の中心として幕府の拠点となる一方、京都には天皇が居住し、文化・精神面の中心としての役割を担っていた。

2011年の東日本大震災では1万9000人以上が死亡し、福島第一原発事故の影響も現在まで続いている。『ニューヨーク・タイムズ』は、この震災によって日本の首都機能が抱える脆弱性が改めて意識されるようになったと指摘する。仮に同規模の地震が人口の比較的少ない東北地方ではなく東京で発生していた場合、日本への影響は計り知れなかったとしている。

日本政府が「南海トラフ地震」への備えとして公開した解説マンガ。(日本気象庁公式サイトより)
日本政府が「南海トラフ地震」への備えとして公開している解説漫画。(気象庁公式サイトより)
本州、四国、九州を含め、日本各地が「南海トラフ地震」の影響を受ける可能性がある。(日本気象庁公式サイトより)
「南海トラフ地震」が発生した場合、本州、四国、九州の広い範囲が影響を受ける可能性がある。(気象庁公式サイトより)

日本政府は、今後30年以内に首都圏でM7クラスの地震が発生する確率を約70%と見積もっている。副首都構想は、こうした大規模災害への備えの一環だ。東京が被災した場合、副首都が政治・行政・経済の重要な機能を一時的に引き継ぐことが想定されている。

防災に加え、東京への人口一極集中を緩和し、首都圏以外の地域で経済成長を促す狙いもある。長年にわたり、仕事や進学を求めて多くの人が東京へ移り住み、地方では人口減少と高齢化が進んできた。一方、東京都市圏の人口は増え続け、昨年は約3700万人に達した。

ただし、一部の専門家からは、まず東京そのものの地震やその他の脅威への耐性を高めるべきだとの指摘もある。また、第2の首都を指定することで、地方から人口がさらに流出し、別の巨大都市への集中を招く可能性もあるという。 (関連記事: 台湾海峡の安全は日本にも直結 日本議員が訴える日台「海洋安全保障」の強化 関連記事をもっと読む

副首都誘致に名乗りを上げる自治体

​副首都整備推進法は、特定の都市を副首都として指定するものではない。要件を満たす地域を含む道府県が、議会の議決を経て指定を申し出る仕組みを設けている。

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