米国在台協会(AIT)は7月末、公式フェイスブックに1枚の写真を投稿した。所属不明の海域で米国沿岸警備隊の巡視船が台湾海巡署(沿岸警備隊に相当)の巡視船と並走する様子が収められており、説明文には「台風シーズンの到来に伴い、米国沿岸警備隊と台湾海巡署は、捜索救難、熱帯低気圧対策、災害救援、海洋資源保護、違法漁業対策、海上での麻薬密輸阻止など、複数の共通する海事目標に向けて緊密に連携している」と記されている。
この写真付きの投稿は当日のトップニュースとなっただけでなく、現在までに1万件以上の「いいね」を獲得した。外国の駐台機関のSNS投稿としては極めて異例の反響である。
台湾内の専門家によれば、この写真の背後には重要な意義があるという。2025年8月に南シナ海で中国海軍の艦艇が自国の海警局(沿岸警備隊)の船に衝突する事故が発生して以降、米国は過去十数年間にわたり東アジア海域における中国の「グレーゾーン」作戦に対して取ってきた不干渉・不介入政策を改め、その立場と行動を大きく転換させたとの見方を示している。AITが投稿した写真は、その一環に過ぎないという。
米国沿岸警備隊は2025年、「戦力デザイン2028(Force Design 2028)」構想を発表した。この包括的な改革計画は、沿岸警備隊全体の体質と兵力を再構築するものであり、インド太平洋地域における優先任務の支援、東アジア海域における中国のグレーゾーン進出への対抗、そして人員規模と艦艇数の拡大を主目的としている。これらの点は、台湾海巡署とも密接な関係がある。
昨年の南シナ海衝突事故が契機に、米国の対中グレーゾーン不干渉政策が転換
台湾の安全保障および東アジアの地政学を長期にわたり研究する国立中山大学中国・アジア太平洋地域研究所教授の郭育仁氏は、過去十数年間、東アジア海域における中国の様々なグレーゾーン作戦による嫌がらせに対し、米政府は一貫して東アジアの同盟国に独自の対応を委ねる政策を取ってきたが、昨年8月の南シナ海での衝突事故がこれを変えたとの見方を示している。
2025年8月11日、中国海軍の駆逐艦「桂林」と中国海警局の「3104」船は、南シナ海・スカボロー礁(黄岩島)東部の海域でフィリピン沿岸警備隊の巡視船2隻および民間補給船1隻と対峙した。その際、「桂林」がフィリピン巡視船の1隻に接近したところ、自国の海警船に衝突し、「3104」船の船首を激しく損傷させ、多数の死傷者を出す事態となった。
郭氏によれば、米政府はこの衝突事故を機に、もし当時の中国軍艦がフィリピン沿岸警備隊の巡視船に衝突し、フィリピン側に死傷者が出ていた場合、米比相互防衛条約第5条が発動され、米国が武力行使による対応を迫られていた可能性があることに気づいたという。
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リスクを管理し、海上での衝突が直接的な武力衝突へとエスカレートするのを防ぐため、米国は過去十数年間にわたる中国のグレーゾーン行動に対する不干渉・不介入政策を転換せざるを得なくなった、と郭氏は分析している。



















































