中国の新出入国規則、台湾人にも適用の恐れ 半導体人材ら「5つの高リスク層」に警戒 中国が公布した出入国新規定について見解を示す陸委会の邱垂正主任委員(右)と梁文傑副主任委員(左)。中国は「台胞証」を所持する台湾人を自国民と見なしていると強調した。(資料写真/柯承恵撮影)
中国国務院(内閣)はこのほど、「国務院関於出境入境管理的規定」(国務院の出入国管理に関する規定) を公布した。同規定には、「中国公民(国民)」が規範に違反した場合、当局が出国を禁止できるとの内容が盛り込まれた。これに対し、台湾で対中政策を統括する大陸委員会(陸委会)の邱垂正主任委員 、および梁文傑 副主任委員、沈有忠副主任委員 が相次いで懸念を表明した。邱氏は、中国共産党が「台胞証 」( 台湾住民の中国渡航用身分証 ) を所持する台湾市民を自国民と見なし、同規定を適用して台湾人の中国への出入国を制限する可能性を排除できないと指摘。さらに、中国への渡航に関して、特に 身の安全に注意すべき人物として「5つのタイプ」を挙げた。
中国への渡航が最も危険な5つのタイプ 邱氏は、「中国在住の台湾人ビジネスパーソン(台商)」、「台湾企業の幹部」、「テック産業および半導体産業従事者」が、恣意的な法執行の対象となるリスクが高いグループだと指摘。また沈氏は他に、「公務員」や「宗教関係者」も、中国渡航時には身の安全に注意を払うよう呼び掛けた。
発言者 発言内容 発言時期 邱垂正陸委会主任委員 中国共産党は国家安全保障の概念を際限なく拡大解釈しており、台湾人が中国へ渡航、あるいは滞在する際、いつでも出入国規制の対象にされる恐れがある。 8月17日 梁文傑陸委会副主任委員 中国側は、中華人民共和国国籍の有無にかかわらず、台湾人を中国人として扱っている。 8月13日 沈有忠陸委会副主任委員 中国政府は強い不安感から、各種の国家安全法規を推進することで権力の引き締めを図っている。 8月17日
中国の「出入国管理に関する規定」とは 中国国務院が先般公布した「出入国管理に関する規定」 は、9月15日より正式に施行される。
新規定では、中国公民が輸出管理規範に違反し、国家の産業の安全や技術の安全を脅かす可能性がある場合、政府は同人物の出国を禁止できると定めている。
台湾国内では、中国政府が中華民国パスポート(旅券)を認めておらず、台湾市民が台胞証を使用して中国に入境した場合、「中国公民」と見なされ、新規定は中国へ渡航する台湾人にも適用されるとの懸念が広がっている。
台胞証とは 台胞証の正式名称は「台湾居民来往大陸通行証」という。これは中国大陸側が台湾住民に対して発行する、渡航および身分を証明する文書であり、主に台湾人が中国大陸に渡航する際に使用される。
一方で、北京大学法学博士で、シンクタンク、民主文教基金会の董事長(会長) で、北京大学で法学博士号を取得した法学者、 桂宏誠氏 は、『風傳媒』の取材に対し、台胞証は単なる「渡航書類」に過ぎず、同証を所持しているからといって中華人民共和国の公民になるわけではないと指摘している。
台胞証は台湾市民が中国に出入国する際に使用する渡航書類だ。(中新網)
邱垂正氏「中国は安全保障の概念を拡大解釈」 邱氏は、近年、中国共産党が国家安全保障の概念を際限なく拡大解釈し、国家安全関連の法規を継続的に整備、改正していると指摘した。「反スパイ法」や「国家安全法」、「台湾独立処罰22カ条(懲独22条)」から、最近の「民族団結進歩促進法」に至るまで、透明性に欠け、文明社会における法の支配の基準を満たしていない条文が目立つと強調。今回の「出入国新規則」の施行に伴い、台湾人が中国へ渡航、または滞在している間、出入国規制の対象としてリストアップされる恐れが常にあると懸念を示した。
さらに邱氏は、中国の出入国新規則において「輸出管理」や「技術輸出入管理」などの出国制限条項が新たに追加されたことを受け、「中国在住の台湾ビジネスマン」、「台湾企業の幹部」、そして「テック産業および半導体産業従事者」が、恣意的な法執行の対象となる高リスクのグループだと明言した。
沈有忠氏「中国政府は強い不安を抱えている」 一方、沈氏は、中国政府が内部統制におけるジレンマや外部からの衝撃に直面する中、制度的な改革措置を講じるのではなく、強い不安から各種の国家安全法規を推進することで権力の引き締めを図っていると指摘した。関連する特定産業、テック産業、半導体産業およびそのサプライチェーン(供給網)従事者のほか、公務員や宗教関係者も引き続き中国渡航時の身の安全に注意する必要があると警告した。
陸委会の沈有忠 副主任委員は、公務員や宗教関係者も中国渡航時、身の安全に注意する必要があると指摘した。(劉偉宏撮影)
梁文傑氏「中国は台湾人を中国人として扱う」 また、梁副主任委員は8月13日に開かれた陸委会の記者会見で、「中国側の認識において、台胞証を所持する台湾人は中国人にほかならない 。そのため、したがって、中国側がこの解釈を適用する場合、当然ながら 「出入国管理に関する規定」 で台湾人を拘束することが可能となる。 こうした事態が起こり得ることを、我々は想定しなければならない 」と述べた。さらに、「過去の複数の事例から見ても、中華人民共和国の国籍の有無にかかわらず、中国側は台湾人を中国人として扱っている」 と強調した。
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