【図解】米中首脳会談リリースに台湾言及なし、米政策圏「当面の武力侵攻なし」と分析 24日、トランプ米大統領と習近平中国国家主席がホワイトハウスで会談。米中双方が関係緩和を模索するシグナルを発し、台湾海峡情勢の沈静化をもたらした。(AP通信)
米国のトランプ 大統領が先週、ホワイトハウスで中国の習近平 国家主席と会談したことを受け、米中台関係の行方に国際的な関心が集まっている。台湾・淡江大学国際事務・戦略研究所 の馬準威助理教授 は、米国の政策コミュニティは「中国による台湾への武力侵攻は短期的、中期的には発生しない」と分析していると指摘。米外交問題評議会(CFR)のウェブサイト上でも、台湾海峡に関するリスク評価がすでに引き下げられている。また、首脳会談後に米中が発表したプレスリリースには台湾に関する言及がなく、双方に新たな共通認識が形成されていないことから、懸念されていた「台湾の切り捨て」は起きていないとの見方を示した。
政治大学国際関係研究センターは9月29日、「第2次トランプ・習近平会談後の米中台関係」と題した座談会を開催した。同センターの王信賢氏が司会を務め、中華経済研究院(中経院)台湾東南アジア諸国連合(ASEAN)研究センター主任の徐遵慈氏、政治大学国際関係研究センター副主任の陳至潔氏、同センター副研究員の曾偉峯氏、淡江大学国際事務・戦略研究所 の馬氏がパネリストとして登壇した。
低下する台湾海峡リスク 馬氏は、自身が今月、米国を訪問して帰台したばかりだと述べた上で、「ワシントンの政策コミュニティは、トランプ氏が今回の会談で習氏と何を議論するのか事前に全く把握しておらず、状況の掌握に苦慮していた」と明らかにした。トランプ政権下では不確実性が高く、従来の慣例に基づく予測に慣れている有識者にとって同氏の動きを読むのは極めて困難で、これがワシントンの政策コミュニティに沈滞した空気をもたらしていると指摘した。
一方、ワシントンの政策コミュニティにおいて「中国に対抗し、台湾を防衛する」という方針は極めて明確であり、台湾支持の路線を断固として継続する姿勢に変わりはないという。ただ、この方針がそのままホワイトハウスの意思決定に反映されるかどうかは依然として不透明だという。
政治大学国際関係研究センターで開催された「第2次トランプ・習近平会談後の米中台関係 」をテーマとする座談会。左から出席者の馬準威氏、徐遵慈氏、王信賢氏、陳至潔氏、曾偉峯氏。(撮影/楊騰凱)
現在ワシントンの政策コミュニティから漏れ伝わる情報によれば、米国による台湾への武器売却が延期されるのは確実な情勢だ。その理由として第一に、米国の軍需産業の生産能力に限界があり、対台武器売却を十分に支えきれないことが挙げられる。第二に、今年は米中首脳会談が頻繁に行われており、双方の良好な雰囲気を壊すことを避けるため、台湾問題という敏感な議題が一時的に棚上げされている。第三に、大量の武器が一度に台湾へ引き渡されたとしても、台湾側にそれを受け入れる十分な体制が整っていない可能性があるという。
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米国の政策コミュニティは、中国政府が短期的・中期的に台湾へ武力侵攻することはないと分析している。この情報が正確であれば、台湾海峡は優先的に警戒が必要な紛争ホットスポットではなくなる。現に、CFRのウェブサイトにおける台湾海峡のリスク評価は、今年度すでに高リスクから中立的な「拡大中(Developing)」へと引き下げられている。
CFRの台湾海峡リスク指標 米外交問題評議会(CFR)の「Global Conflict Tracker」は現在、 台湾問題を巡る対立(Confrontation Over Taiwan) を「拡大中(Developing)」と位置づけ、米国の国益に対する影響を「Critical(重大)」と評価している。また、CFRの2026年予防的優先事項調査では、台湾海峡危機の発生確率を「Even Chance(中程度の可能性 )」と予測している。 データ更新:2026年8月27日
2026年の発生確率 Even Chance CFR定義:中程度の可能性
米外交問題評議会(CFR)台湾海峡リスク評価のポイント 評価項目 CFRの最新リスク評価 分析 台湾海峡の現状 Developing 拡大中CFRは台湾海峡を現在進行形の国際紛争リスクとして分類しているが、これはすでに戦争が勃発していることを意味するものではない。 米国の国益への影響 Critical 重大CFRは、台湾海峡紛争が米国の戦略的利益に深刻な影響を与え、米国の直接的な軍事介入を誘発する可能性があると分析している。 2026年台湾海峡危機 Even Chance 中程度の可能性CFRの調査手法では「Even Chance」をModerate Likelihood に分類し、発生する確率と発生しない確率が同程度であるとしている。 CFRの全体的な分析 High Impact 2026年予防的優先事項調査では、「中国による台湾への軍事的・経済的・政治的圧力の高まりが深刻な台湾海峡危機を引き起こす」というシナリオをティアI、高影響 に分類している。
※「指標」はウェブサイト上の視覚的な表現であり、CFRの元の英語指標に対応するもので、CFRが別途発表している赤・黄・緑の評価を意味するものではない。また、CFRの「Even Chance」は、台湾海峡で確実に戦争が勃発することを予測するものではない。
米国の対台武器売却、トランプ氏退任前まで先送りも 馬氏は「この論理に基づけば、米国の対台武器売却が停止することはない。エスタブリッシュメント(既存支配層)の台湾支持の思想が存在し、軍事売却を通じて利益を得たいというトランプ氏の思惑がある限り、対台武器売却は継続される。米国は台湾海峡のリスク度合いを天秤にかけ、中国政府による圧力が高まれば、米側はバランスを維持するために武器売却を強化するだろう」と指摘した。
また、今回の会談に際してトランプ氏が空港で習氏を出迎えたことについて、極めて異例だと述べ、米国大統領が空港で出迎えを行った前例は、オバマ氏がローマ教皇を出迎えた時まで遡る必要があると解説。教皇の地位は言うまでもないが、米国と競争関係にある国家の指導者が、米国大統領本人から直接出迎えを受けるという厚遇は異例中の異例だと強調した。
政治大学国際関係研究センターで開催された「第2次トランプ・習近平会談後の米中台関係」をテーマとする座談会に出席した、淡江大学国際事務・戦略研究所 の馬準威助理教授。(撮影/楊騰凱)
またトランプ氏と習氏は年末にもアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議および主要20カ国・地域首脳会議(G20)での対面を控えており、今年中に米中関係を破綻させたくないのであれば、米国の対台武器売却の承認は年内に間に合わない可能性があるとの見方を示した。一方、来年には中国共産党の第21回全国代表大会(党大会)が控えており、習氏が抱える課題は山積している。その時期に米国が対台武器売却を承認すれば中国側を刺激する恐れがあるため、武器売却はさらに先送りされ、トランプ氏の退任直前まで延期される可能性が高いと分析した。
「台湾の切り捨て」は起きていない 最終的な結論として馬氏は、米国は今後も対台武器売却を継続するため、過度に悲観する必要はないと述べ、台湾海峡における即時的な衝突リスクも低下しており、台湾側は有事に備えるための十分な猶予期間を確保できている状況にあると語った。
さらに今回の米中首脳会談において、習氏が台湾問題に言及する必要があったのは当然だが、事後の動きを見る限り、双方は台湾問題において合意に至らなかったとみられ、その結果、米中が発表した会談のプレスリリースには台湾に関する言及が一切含まれなかったと指摘。米中間で台湾に関する新たな共通認識が形成されていない以上、懸念されていたいわゆる「台湾の切り捨て」は起きていないと結論づけた。
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