岩屋毅前外相は9月28、29の両日、北京で王毅外相、何立峰副首相と相次いで会談した。岩屋氏は日中友好団体の日本国際貿易促進協会の会長として訪中した。
テレビ朝日によると、昨年11月に日中関係が悪化して以降、中国指導部が日本の政治家と公式に会談するのは初めてとなった。
日本側では、今回の会談をめぐる受け止めが分かれている。
テレビ朝日の元中国総局長で、現在は首相官邸担当キャップを務める千々岩森生氏は「報道ステーション」で、高市早苗首相の周辺からは、中国側の対応が少し変わったとの見方や、岩屋氏の訪中には意味があった、良かったとの前向きな受け止めが複数聞かれると紹介した。
一方、千々岩氏自身はこうした見方に否定的だ。王氏と何氏が相次いで会談に応じたのは岩屋氏に対する中国側の対応であり、高市政権への歩み寄りではなく、日中関係の好転につながる実質的な意味はないとの見方を示した。
外務省の見方は、首相周辺より慎重だ。
読売新聞は29日、一連の会談が対中関係の打開につながるか、政府は慎重に見極める方針だと報じた。外務省幹部は「中国の主張に大きな変化はない。今回で何かが動いたということはない」と述べている。
政府間対話、船越氏と呉氏のルートにほぼ限定
読売新聞によると、現在の両政府間の対話は、船越健裕外務次官と中国の呉江浩駐日大使のルートにほぼ限られており、政府高官は「没交渉」に近い状態だと表現している。
今秋の国際会議に合わせて日中首脳会談が実現するかについても、依然として見通せない状況だ。
中国側も今回の会談で、台湾問題をめぐる立場を変えていない。
王氏は、日本側に対し、台湾問題をめぐる日本の指導者の誤った言動を早期に「是正」するよう求めた。何氏も翌日、日本の一部の政治家が台湾問題で中国側の「一線」に触れたとの認識を示した。
両氏が念頭に置いているのは、高市首相が昨年11月の国会答弁で、台湾有事が日本の安全保障法制上の「存立危機事態」に該当する可能性があるとの認識を示したことだ。
「存立危機事態」は、日本の存立が脅かされるなど一定の要件を満たした場合、限定的に集団的自衛権を行使できる状況を指す。
木原官房長官、論評避けるも「重層的な意思疎通が重要」
木原稔官房長官は29日の記者会見で、岩屋氏の会談について問われ、民間経済団体の動向であるとして、政府として個別にコメントすることは控える考えを示した。
そのうえで、日中間には懸案や意見の相違があるからこそ、幅広い分野で重層的な意思疎通を行うことが重要だとの認識を示した。
大越氏、政府に「落としどころ」探るよう求める
同日夜、元NHK記者でテレビ朝日「報道ステーション」のキャスターを務める大越健介氏は、日本政府側の対応に言及した。
大越氏は、高市首相が中国との「戦略的互恵関係」の維持を繰り返し掲げていることに触れ、共通の利益を重視しながら安定した関係を築くためには、両国間の問題を一つずつ解決していく必要があるとの考えを示した。
高市氏の台湾有事をめぐる発言によって日中間に摩擦が生じてから1年近くが経過したとして、政府が主体的にこの問題の「落としどころ」を見つけるべきだと述べた。
大越氏は、高市氏に答弁の撤回を求めたり、中国側が求める「是正」を受け入れるべきだと主張したわけではない。
経団連、11月中旬に小規模訪中団
経団連の筒井義信会長は29日、岩屋氏と中国側要人との会談について「非常に評価している」と述べた。
また、11月中旬に経団連として少人数の訪中団を中国に派遣する予定であることを明らかにした。
訪中団は中国の経済団体との交流に関わる会員企業で構成され、地方の先端技術の動向などを視察することが候補となっている。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
編集:梅木奈実 (関連記事: 中国は対日姿勢を軟化? 高市首相答弁「撤回」から「是正」へ、関係改善の条件は変わらず | 関連記事をもっと読む )














































