中国の習近平国家主席がこのほどワシントンを訪問し、再度トランプ米大統領と会談したことが、世界的な注目を集めている。米中両国は、それぞれ300億ドル規模の輸入品に対し、関税を引き下げることで合意、対象となる品目のリスト(食品、農産物、玩具などを含む)を公表した。また貿易上の「休戦」期間を来年1月まで延長することでも一致した。しかし、元米通商当局者は、今回の合意は「漸進的」な関税引き下げに過ぎず、全体として「目標が限定的」であり、「目標値が低い」と指摘した。
具体的な成果は不透明
米政府の元米国通商代表部(USTR)次席代表代行、ウェンディ・カトラー氏は28日、プレスリリースを発表し、トランプ氏と習氏の首脳会談によって「貿易面での具体的な成果」が得られたものの、米国の消費者がいつ店頭でこれらの関税引き下げ商品を目にすることができるのか、ホワイトハウスの文書には明記されていないほか、両国は依然としてそれぞれの国内手続きを完了させる必要があると指摘した。
カトラー氏は、米国にとってこうした状況が対象品目リストについてパブリックコメント(意見公募)を求める必要があることを意味するのかどうかは、現時点では不明だと説明し、「文書の表現を見る限り、規定を修正することにはあまり前向きではないようだ」と述べた。また注目すべき点として、米中が設置する「貿易委員会」の本来の職務は貿易を「最適化」することであり、ジャミソン・グリア米通商代表が述べるように貿易を「管理」することではないと指摘した。
カトラー氏は、同委員会の限定的な権限の範囲は、現在の米中貿易関係の現状を反映していると語り、「大半の貿易がますます機微(センシティブ)な分野に集中しており、これが両国に対し、貿易強化の道を模索するのではなく、互いへの依存度を下げるよう促している」と分析した。
カトラー氏は、USTRで30年近い実務経験を持ち、米政府の外交官、交渉担当、およびUSTR次席代表代行を歴任してきた。USTR在籍中には、米韓自由貿易協定(FTA)、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、米中貿易交渉、世界貿易機関(WTO)における金融サービス交渉など、多数の2国間、地域間、および多国間の貿易交渉やイニシアチブに参画した。
重要鉱物問題で米国は突破口を開けず?
カトラー氏の分析によれば、米国にとって、クリティカルミネラル(重要鉱物)および磁石の調達ルートの確保が依然として明白かつ回避困難な問題となっている。中国が米国に対するこれら製品の輸出を制限していることが原因で、推計によれば、中国から米国への輸出量は以前の水準の3分の2程度まで減少している。米政府は中国政府に対して輸出制限の緩和を求め圧力をかけ続けているが、米国は未だに中国から譲歩を引き出すには至っていない。
カトラー氏は、トランプ政権がこれまでに公表した中国との貿易・投資交渉の成果は、せいぜい「漸進的」なものにとどまり、「目標が限定的」かつ「目標値が低く」、しかもプロセスが煩雑だと指摘する。ただし、トランプ氏と習氏が今年中にさらに2回の首脳会談を予定していることを考慮すれば、米中双方が今回の会談で直ちに成果を上げなければならないというプレッシャーは緩和されたとも言えるとの認識を示した。
とは言え、米中間の二国間経済関係の安定を維持することの重要性を過小評価すべきではないとカトラー氏は強調する。細々としたチャネルであっても両国間の貿易や投資を拡大する道を探り、緊張の高まりを回避するとともに、中国からの重要鉱物や磁石の流通を維持することは依然として重要だと指摘した。
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編集:平松靖史 (関連記事: 米中首脳会談、「第2次大戦の同盟国」強調 台湾専門家「脱中華民国化が鮮明になる」と警戒 | 関連記事をもっと読む )












































